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伝動ベルト3社の通期予想、増収営業増益も成長鈍る背景

伝動ベルト3社の通期予想、増収営業増益も成長鈍る背景

三ツ星ベルト公式サイトより

伝動ベルト3社は2024年3月期業績予想を、そろって増収営業増益(バンドー化学はコア営業利益)としつつも成長は鈍ると見通す。半導体不足の緩和で自動車生産が回復するなど、生産活動が活発化しており、三ツ星ベルトは自動車用、産業用ともにさらなる回復を見込む。ただ世界経済の下振れリスクなど事業環境の先行きは不透明で、見通しが立てづらい状況にある。

23年3月期は3社とも増収。バンドー化学と三ツ星ベルトが2ケタの営業増益で、原材料や物流費上昇などのコスト増を製品販売増や為替の円安が補った。バンドー化学は売上高が初めて1000億円を突破した。中国で自動車向けベルトが苦戦したものの、自動車や2輪車の生産が回復したアジア向けがけん引。民間設備投資の増加などで産業機械用も各国で販売が増えた。

三ツ星ベルトは前期比21・3%増と大きく伸長した海外ベルト事業が業績をリードした。ただ全社増収の約80億円分のうち為替影響が約61億円を占め、残りの約20億円を実力で伸ばした格好だ。インドネシアでの税制変更という一時的な要因が経常増益に貢献した。

ニッタも平ベルトが繊維や物流業界向けが堅調で、為替影響もプラスに寄与。ただ持ち分法適用会社のゲイツ・ユニッタ・アジア(大阪市浪速区)で手がける歯付きベルトは、最大販売地域の中国のゼロコロナ政策の影響で業績が落ち込んだ。

バンドー化学の植野富夫社長は「エネルギー価格が高止まりし、動向は依然として不透明。外部要因によるコスト増がどう動くか判断が難しい」と話す。


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日刊工業新聞2023年5月22日

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