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サヨナラ負けの33分後、甲子園から
北海道へ。日本ハム裏方の仕事ぶり。

posted2019/06/10 16:30

 
サヨナラ負けの33分後、甲子園から北海道へ。日本ハム裏方の仕事ぶり。<Number Web> photograph by Kyodo News

北海道を本拠地としている球団の宿命として、飛行機での移動を強いられるチームを支えるのが、マネージャーなどの裏方スタッフだ。

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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Kyodo News

 プロとしての仕事を、また垣間見た。激闘が終わった直後だった。

 6月9日、甲子園球場での阪神タイガース戦。9回サヨナラ負けで、聖地での3連戦が終了した。

 試合時間3時間42分。午後2時開始で、午後5時42分ゲームセットだった。試合後の広報業務等の準備のため、食堂へ向かう。すでに試合後のチームの行程が決まっていた。

 ホワイトボードには「18:15出発!」と、大きく記されていたのである。

 当日、試合終了後に球場からバスで伊丹空港へと移動して空路、北海道へと戻るスケジュールだった。搭乗予定便は19時10分発。試合後のシャワーと着替え、野球用具等の荷物の整理の時間を逆算すると、ギリギリの選択だった。

 関西に、もう1泊して翌日移動に切り替えるリスクの少ない選択肢もあったそうだ。それでも試合終了から、わずか33分後に球場を発てば、搭乗予定便に間に合うとのジャッジを下した。

飛行機遠征がメーンという難しさ。

 サヨナラ負けのショックや余韻に浸る間もなく、結果が確定して瞬時に決断。選手を含めた大連隊を動かす。各交通機関や、仮押さえしていた宿泊先へのキャンセル手配などもする。マネジャー陣が難局の判断、煩雑な作業を一瞬で一手に担う。

 選手はバタバタではあるが、キビキビと無駄なく身支度を整えていた。「無理です」や「時間がない」と弱音を漏らす選手たちもいたが、もちろん断行である。

 的確にシビアに判断をするマネジャー陣に日々、鍛えられている。試合終了から出発時間まで、わずか33分間。その中で、軽食として食堂で供された名物「甲子園カレー」を摂る余裕を見せた、貫禄十分の猛者も数名いた。

 北海道に本拠地を置くため、飛行機での遠征がメーン。新幹線よりも、移動手段の振り替えが容易ではないことは想像に難くないだろう。

 甲子園から空港までの道中の渋滞情報などを調査した上での緻密なシミュレーションも行った上での判断。手練れのマネジャー陣の豪腕に導かれ、無事に北海道へと到着したのである。

【次ページ】 打撃投手がこなす“二刀流”とは。

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