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菊池雄星が感じた日本とMLBの違い。
「個人が持つ自由と責任」

posted2020/01/08 11:40

 
菊池雄星が感じた日本とMLBの違い。「個人が持つ自由と責任」<Number Web> photograph by AFLO

菊池雄星のメジャー1年目は試行錯誤の年だった。新たな場所で、新たな能力を身につけるために。

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菊池雄星

菊池雄星Yusei Kikuchi

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 ローテーションを守れたことは収穫だと思いますが、同時に課題もたくさん見つかり勉強になった1年でした。

 高いレベルに挑戦するという事は簡単なことばかりではないですが、悔しい思いをしながら「これを越えた先に成長がある」と自分に言い聞かせました。今ぶつかっている壁を乗り越えた先に、自分が大きくなるという期待を感じています。

 そんな1年間を振り返ってみると、日本とは環境の違いを多く感じるシーズンでもありました。

 例えば中4日の調整に関しても、日本と基本的には同じでも、細かい部分で改めて知ることも多かったです。

 マリナーズでは、先発投手の練習メニューは決められていません。ピッチャーによってはグラウンドに出ない選手もいますし、ピッチングをしない選手もいて、選手それぞれです。日本ではキャッチボールやランニングなどコーチに言われたことをやっていましたが、こちらでは自分自身で決めることが格段に多いです。

 もちろんコーチからのアドバイスや原理原則は存在しますが、体の状態に合わせてやるかやらないかは自分の判断に委ねられています。

日本よりシンプルなブルペン練習。

 僕はキャッチボールをしたいタイプなので、登板日以外も毎日のように練習に出ていましたが、チームのレジェンドであるフェリックス・ヘルナンデスは、中4日のうち1日は何もしない日、そこからやる日とやらない日のメリハリをつけていました。

 次の登板までに、ブルペンに入る日数は基本的に1日だけです。日本での「ブルペンでの投球練習」と比べると、メジャーはよりシンプルです。

 どういうことかといいますと、メジャーでは投球練習前に「今日の目的」を明確にすることを義務づけられます。カウントをつけてピッチングする、バッターを立たせてピッチングするなど、目的を設定するんです。

【次ページ】 足りていなかった「考えて投げる練習」。

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