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夏の甲子園、中止がほぼ確実に……。
代わりの公式戦をどう行えばいいか。

posted2020/05/18 11:40

 
夏の甲子園、中止がほぼ確実に……。代わりの公式戦をどう行えばいいか。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

昨年の夏の甲子園で優勝を飾ったのは履正社だった。この舞台に立つチャンスさえなくなると、高校球児の無念はいかばかりか……。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Hideki Sugiyama

 春のセンバツ大会に続いて、夏の甲子園大会、全国高等学校野球選手権大会(8月10日開幕予定)の中止がほぼ確実となってきている。

 現時点で日本高野連の小倉好正事務局長は「決定していることは何もない。20日の運営委員会で協議します」と明言を避けているが、大会実施を決めるにはあまりに障害が多く、5月20日に正式に中止が発表される見込みとなっている。

 開催が難しい理由はいくつかある。

1地区でも代表が決まらない場合は成立しない。

 1つは新型コロナウイルスの感染拡大により、そもそも高等学校で長期の休校が続いたことによる影響だ。

 休校の影響で生徒にはほぼ2カ月前後の学習の遅れが生まれており、その遅れを取り戻すために夏休みの短縮を打ち出している自治体もある。

 日本学生野球憲章第8条では「野球部の活動は、部員の教育を受ける権利を妨げてはならず、かつ部員の健康を害するものであってはならない」と規定されている。

 高校野球の夏の大会の予選が主に6月下旬から7月上旬に始まるのは、夏休みを前提にこの規定にそったものだからだ。緊急事態宣言解除などで再開した学校も、夏休みを短縮して7月一杯から8月上旬まで授業を続行するケースが出てくるかもしれない。

 そうなると予選すらできない可能性もあり、8月10日の開幕に間に合わせることが難しい地域が出てきてしまう。

 1地区でも代表が決まらない場合は全国大会は成立しない、というのは高野連のこれまでの一致した見解だ。となると物理的に全代表を揃えて大会実施が難しい可能性があるのが実情なのだ。

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小倉好正

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