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山田陽翔vs浅野翔吾の“全4打席”のウラ側…実は2度あった「敬遠の可能性」、山田のスゴみを感じた1球…その時、2人は何を思ったか？

posted2022/08/19 11:03

text by

田口元義Genki Taguchi

photograph by

Hideki Sugiyama

　近江の山田陽翔は潔く負けを認めた。

「浅野君との勝負には完敗してしまって」

　高松商との準々決勝。「大会No.1スラッガー」浅野翔吾との直接対決で、全打席出塁を許したことを指していた。

　1回表。浅野との初対決。

　監督の多賀章仁は、山田の状態が万全でなかったことを明かす。

「本調子じゃなく、思い通りの球を放れてなかったもんですから」

　スライダーを2球連続で見られ、変化球中心の配球でフルカウントに。そして、6球目の真ん中よりのスライダーをレフトへ痛烈な打球を放たれ、二塁まで進まれてしまった。

　打たれたとはいえ、山田はこの6球で浅野の傾向をしっかり学習していた。

「おそらくは追い込まれるまで狙い球を待っているなと感じて。低めの変化球は徹底して振らないと感じました」

　2点リードの3回表。2度目の対決を前に、山田は決断を迫られていた。

　1死一塁でベンチから伝令が送られる。

「申告敬遠するか？」

　山田が強い意志を示す。

「勝負させてください」

　1打席目から配球をガラリと変える。

　初球、インコースのストレートに相手が反応せずストライク。2球目のツーシームは低めに外れてボール。カウント1-1から山田がキャッチャーの大橋大翔とアイコンタクトを交わし、ニヤリと笑う。

　3球目。外角146キロのストレートを弾き返される。センターを襲ったかに思えた弾丸ライナーは、失速することなくバックスクリーンに突き刺さった。

　山田は真っ向勝負を挑んだストレートを、「投げミスではない」と言った。

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