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被害は高齢者だけではない? 狙われる住宅とは? 相次ぐ強盗事件 取るべき対策は?【岡山・香川】

2023.02.07

被害は高齢者だけではない? 狙われる住宅とは? 相次ぐ強盗事件 取るべき対策は?【岡山・香川】

1月に東京・狛江市の住宅で90歳の女性が殺害される強盗殺人事件が発生するなど、各地で相次ぐ強盗事件。凶悪化する事件の背景や、取るべき対策について、日本防犯学校の梅本正行学長に聞きました。

Q、今回の狛江市の事件の特徴は?

「犯罪者が異常だったということ。本来こういった強盗犯、プロ強盗犯は極力相手に怪我をさせなかった。ましてや死に至らしめるということはほとんどない。今回はもう素人の集まり。金が欲しいだけ。金のためだったら何でもやる。人の命なんか考えない連中がやっている事件だということをしっかりと我々が自覚すること」

「狛江の場合は完全に指示に従って動いているだけで、本人たちの意思はない。今後もこういう犯罪が起きるだろうし、模倣犯が出てくる可能性も高い。そんなに簡単に大金が手に入るならやろう。ましてや自分が押し込むところが年寄りだったら心配いらんと。軽い気持ちでこういう犯罪に走る可能性が多々ある。犯罪というのは同じような事件が起きることがあるので、しばらくは特に注意して取れる対策をとっていただきたい」

Q、普段からどんな意識が必要?

「特殊詐欺の被害に遭った人の意識調査をしてみると、『自分は騙されない』と思っていた人がいっぱいいる。過半数以上がそう思っている。これは絶対にダメ。『私は騙されるかもしれない』と思って、普段から生活をすると用心深さがずっと高くなる。(犯人が)最初にアクションを起こしてくるのは固定電話が圧倒的に多い。今は“防犯電話機”というものも出ていて、出ない方がいい電話は赤いランプ、出てもいい時は緑のランプが点滅する。そういった電話機に交換をしてみるなど、『私だって狙われるかもしれないから注意しなければ』という思いをしっかり持ったほうがいい」

Q、被害は高齢者の一人暮らしが多い?

「ご夫婦で襲われている人もいっぱいいる。何人だったらセーフだとか、何人だったらアウトではない。犯罪者が嫌がるような環境作りを、お金がかかってもちゃんとやる。そして自分の生活の見直しをしていく。例えば、インターホンが鳴って簡単に開けてなかったか。そうしたことの見直しをする事が一番大事」

「警察は『不審者情報は遠慮なく110番を』と広報している。自分の地域の事は、自分の目が確か。『なんかあの人変だな、おかしいな、人の家の前うろうろして…』と思ったら、遠慮なく110番を。友達に聞いてもいい。例えば、見たこともないような車がウロウロ行ったり来たりして、その車の中に二人三人乗っている。しかもナンバープレートを見たら他府県ナンバーでレンタカーの「わ」が書いてあった。こうなったら、もう不審車両だと思って警察に電話すればいい。ただ普段110番なんてしないから、『変な車かどうかも分からないのに110番していいかしら』と思う人もいるだろう。そんな時の窓口、電話番号が「♯9110」。緊急時には、通信指令室と連携をとってパトカーが駆け付ける。そういう窓口があるので、そこは大いにフルに活用していただき、地域全体で見守ることを考えた方がいい」

Q、被害は高齢者だけではない?

「年齢は関係ない。アポ電でいえば、アンケート調査のふりをして電話をしてきて、さも善人の様な感じで聞き出していく。いきなりお金の話はしない。健康とか色んな雑談から入って、じわじわとそこの家の情報を取る。仮にアンケート調査に答えるのであれば、その主催をしているところにこちらから電話をして、『こういうアンケート調査をしていますか?』と。逆に尋ねてから答えるぐらいの用心深さが必要。普段情報をダダ漏れにしていたら、いつ狙われてもおかしくないっていう自覚を持った方がいい」

「『我が家が(犯罪の)対象になるかもわからない』という発想を持って生活をするのと、『うちには来ないだろう』と思って生活するのでは、すごい差がつくことをわかっていただきたい。意識がしっかり芽生えると、今度はどんな犯罪があるか知識が出てくる。その知識が出てきたら、今度はどうしたらいいか対策が出てくる。まずは意識。この意識からしっかりとスタートして、今まで戸締りもしたことがないような人は、徹底して戸締りをする習慣を付けた方がいい」

Q、どういった住宅が狙われやすい?対策は?

「まず家の情報はほとんど漏れていると思った方がいい。今後は、簡単にアンケートに細かいことを書くのは極力避ける。注意深くなれば、人間というのは本能が働いて、いろんなことにブレーキがかかる。注意するというスイッチを必ず入れていただくことが大事。防犯対策に『これさえあれば大丈夫』というものはない。沢山やればやるほど、防犯性は高くなる。できることであれば、(犯人が)下見した時に外から見えるような(防犯)商品を活用することを勧める」

Q、強盗を防ぐおすすめグッズは?

「グッズで強盗対策をするのは非常に難しい。それなりの頑丈な対策をしておかなければ。強盗犯というのは複数犯で来て、ガラスでも荒っぽいやり方で割って入ってくる。家の中に簡単に入れないようにするには、いち早く気付くことが大事。カメラをつけるのもいいし、“防犯砂利”という、踏むと大きな音がする砂利もホームセンターに売っている。そういうものを窓の下にたっぷり敷く。伸ばさず、たっぷり5cmぐらい厚みのある敷き方をする。センサーライトも1個ではなく、数個つける。空き巣に入られたら電気がつくようにする。窓には補助錠をちゃんとつける。こういうことがとても大事。夜間に入ってくる強盗犯や泥棒が多いので、例えばリビングは電気を点けっぱなしにして寝る。その明かりが外に漏れることで、人が起きている雰囲気を醸し出す。それで全てではないが、抑止効果はある。寝てない部屋の電気をつけるということは、家族が起きている可能性を相手は感じるので、そうしたことはぜひやっていただきたい」

■いつ狙われてもおかしくない

「今の世の中の状況、犯罪の起きている状況を考えると、いつ自分の家を犯罪者が狙ってきてもおかしくない。そこにしっかり対策を取っていく。そして、何か異変がないか、変な人間がいた、変な車を見た、訳の分からない人間が敷地に入ってきた。そういったことがなかったか、家族で常に情報交換をして、地域の中でも情報交換をしていただきたい」

■岡山県は“戸締りしない”ワースト10

「私が調べた限りでは、岡山県は“戸締りしない人が多いワースト10”の中にどっぷり入っている。危機意識の少ない人が多い。まずは戸締りをしっかりすること。そして胸に手を当て、普段から危機管理をしっかりしているか、道を歩いていて、ひったくり被害に遭わないようにしているか。スマホを触りながら歩いていないか。ハンドバッグをひったくられるような恰好で持っていないか。こういった事で、その県民の防犯意識が高いかどうかがわかる」