61807秘密基地のようなミニ書斎&趣味部屋「どこに住んでも自分の手で居場所を造る」

秘密基地のようなミニ書斎&趣味部屋「どこに住んでも自分の手で居場所を造る」

男の隠れ家編集部
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【プロフィール】ネイチャークラフト作家・長野修平さん
1962年北海道生まれ。30年来、古材や自然素材を生かしてハンドメイドハウスや生活用具を作る暮らしを続ける。アトリエNATURE WORKSを主宰し、全国でワークショップなどを行う。

廃材や古材に宿る物語を生かし、声を聞いて適材適所で再利用|長野修平さん

廃材や古木をどう見立てるか適材適所を探して創造する

主屋の玄関前に施工したサンルーム風の明るい工房。お気に入りの工具類が並ぶ。扉の奥もセルフビルドの住居。

津久井湖や相模湖にほど近い丹沢北部の山懐。道志川もわずかな距離という自然豊かなロケーションに、ネイチャークラフト作家・長野修平さんの自宅兼工房「NATURE WORKS」がある。

斜面を生かした土地に建つのは、パッチワークのような板張りの外壁と三角屋根が印象的な主屋のウッドハウス。さらに階段を登った上には、廃材で土留めして、水平にした土地にゲスト用にと建てたドームハウスが佇んでいる。いずれの建物もお伽の国に来たような素敵な存在感を放ち、柔和な笑顔で出迎えてくれた長野修平さんの人となりが映しだされているようで心が和んだ。

「土地ならしはけっこう大変でしたが、建物は基礎部分をプロに任せ、外装から内装については全て自分たちの手でやりました。基本的に廃材や古材を使った家を建てたかったので、これはもう楽しみながらの日々だったんです。廃材や古材って出会いなんですよね。誰がどこでどう使ってきたかという物語が染み込んでいて、時を刻んできた重みがある。それを想像するのが楽しい。だから、いらないという廃材はなんでも引きとっちゃいます(笑)」

実際、多くの廃材や敷地内で伐採した木などが積んである。

ゲストハウスを前に、「廃材みたいに生きることが理想なんだよね」と、日に焼けた笑顔で語ってくれた長野さん。
リビングやキッチン空間に収まる雑貨や小物などにもセンスが光る。生活用品やキッチングッズは整理して、いつでも取り出せるようにしておくのがモットーだ。

一方で、高台にあるゲストハウスは、修平さんが一人で完成させたフルセルフビルドの建物だ。敷地内で伐採した自然木などを土台に、通気性をよくした高床式の造り。天井や壁板は古い家の解体材を使用し、断熱材はフェルト(ウール)を使うなど、最終的に土に戻っても安心な材料にこだわった。

「製作期間は約2カ月かかってけっこう大変でしたが、その分充実して楽しかった。集中しすぎて10キロくらい痩せちゃったんですが、ダイエットにもなったかな(笑)」

家造りもクラフト作りにしても、長野さんにとって自分のできることが生き方の“芯”だという。

「どこでどう暮らしていくのか。それを自分に寄せていくことが僕のスタイル。エイジングを重ねて次の役まわりがある“廃材”みたいに生きていけたらいいですよね」

文/岩谷雪美 写真/秋 武生

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