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生き方

「攻撃的な人」「嫌な人」が多いのは、あなたの“心”が求めているから

加藤諦三(早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)

2022年05月25日 公開 2023年07月26日 更新

「攻撃的な人」「嫌な人」が多いのは、あなたの“心”が求めているから

「みんな仲良く」「友達100人できるかな?」といった言葉を幼少の頃から教えられ、周囲との協調性を第一に求められる機会が多いように感じられる。

しかし、その言葉が「万人から好かれる人であるべき」という状態を生み、中には苦手な人と距離を置けずに悩んだり、生きづらさを抱えながら過ごしていたりする人も少なくないという。

「あなたが気に入られようとして身を削って生きてきた、その人はいまのあなたに何か助け船を出そうとしているだろうか...」こう問いかけるのは、「テレフォン人生相談」というラジオ番組を、半世紀以上続けてきた加藤諦三氏。

「自分の人生」を生きながら、周囲と上手に関わるコツについて聞いた。

※本稿は、加藤諦三著『心の休ませ方 「つらい時」をやり過ごす心理学』(PHP文庫)を一部抜粋・編集したものです。

 

嫌な人を切る勇気をもつ

自分を頼りなく感じる人は、生きていこうとすれば一人でも生きていけるのに、一人では生きていけないと感じてしまう。

そして一人では生きていけないと思うと、一人では生きていけなくなる。

いったん別れてみれば、自分にとってディメリットだけという人にどうしてあそこまでお世辞を言い、貢ぎ、恐れていたかが不思議になる。でも迎合している時にはそれが分からない。

自分にとってディメリットだけということは、相手にとってはメリットだけということである。しかも相手のほうが威張っている。メリットを与えている側が、メリットを得ている側に卑屈に迎合している。

人から搾取されている時には、どうしても事実が見えない。いったん離れてみれば、「オレはなんてバカなことをしていたのだろう」と不思議になる。しかしこうした構造は離れてみないと理解できない。

離れてみると、その人と離れていることが「得していることばかり」であることに驚く。

しかし、つきあっている時には、その人と接すると自分が「損していることばかり」であることに気がつかない。

離れてみると、その人から離れてても何の不都合もないことに気がつく。その人と離れていても何も困ることはない。

その人たちは努力せずに幸せになることばかりを考えている人たちだからである。

それなのに、不思議なことに、つきあっている時には、何だかその人と離れると何か「困ること」が起きるような気がする。

そして嫌々ながらも何だか分からないが、つきあっていなければいけないような気持ちになる。

 

軽視してくる人とは付き合わない

こうしたことがいえるのは、なにも搾取、被搾取の関係においてばかりではないだろう。あなたを傷つける人間関係一般についていえることである。

私たちは自分をバカにする人に腹を立てる。そして時にバカにされて惨めに感じる。

だがこれとても同じことである。自分をバカにする人に対してイライラしたり、悔しい思いをすることはないのである。

人は、自分をバカにしたり軽く扱った人を見返したいと思ってしまい、逆に執着することがある。それは自己蔑視する人たちである。

自己蔑視する人は、自分が人から軽く扱われることを心の奥底で受け入れている。だから自分を軽く扱う人を粗末に扱えない。なかなか「こんな奴ら」と思えない。

しかし、自分を軽く扱った人がいれば、当然、「この人たちとつきあってはいけない」と思わなければおかしい。「この人たちとは早くこの縁を切ろう」と思うのが自然である。

自分をあざけった人に執着してはいけない。自分を軽く扱う人は「切れ!」。軽く扱われたことにイライラすることはない。

つまり搾取されている時と同じで、心理的に深くつきあっているから、腹が立ったり、悔しかったり、惨めだったりするのである。

心の中で切ってしまえば、彼らなど、どうということはない。いったん離れてしまえば、彼らの態度や言葉に傷つくのが不思議に思えてくる。

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著者紹介

加藤諦三(かとう・たいぞう)

早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1973年以来、度々、ハーヴァード大学研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授、日本精神衛生学会顧問、ニッポン放送系列ラジオ番組「テレフォン人生相談」は半世紀ものあいだレギュラーパーソナリティを務める。

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