アングル:米2月雇用統計は低い伸び、注目された「5つの要素」

アングル:米2月雇用統計は低い伸び、注目された「5つの要素」
 3月8日、2月の米非農業部門雇用者数は前月比2万人増と、2017年9月以来約1年半ぶりの低い伸びにとどまった。コロラド州の求人フェアで2017年2月撮影(2019年 ロイター/Rick Wilking)
[ニューヨーク 8日 ロイター] - 2月の米非農業部門雇用者数は前月比2万人増と、2017年9月以来約1年半ぶりの低い伸びにとどまった。また101カ月続いている雇用拡大局面において、3番目に少ない増加幅だった。
今回の雇用統計で注目を集めた要素は次の5つだ。
(1)雇用鈍化は一時的か軟調トレンドの始まりか
エコノミストや投資家の頭に浮かんだ大きな疑問は、2月の低調な雇用が特異な動きか、それとも米国の労働市場の勢いが循環的に弱まる局面に突入したのかという点だった。
現在の空前の雇用拡大が2010年10月に始まって以来、今回よりも増加幅が小さかったのは16年5月の1万5000人と17年9月の1万8000人しかない。この2回はいずれも翌月に勢いが戻って、増加幅は25万人を超えている。
(2)プライムエイジ労働力の存在感拡大と長期的な変化
「プライムエイジ」と呼ばれる25歳から54歳までの働き盛りの世代の労働参加率は82.5%と、10年以降で最高に達し、全世代の労働参加率63.2%を大きく上回った。
さらにプライムエイジの中で女性が男性よりも雇用拡大をけん引する上で大きな役割を果たしており、米国の労働力の長期的な変化が反映されている。女性の労働参加率は75.9%と、15年の底から2.6%ポイント上がっている半面、男性は14年の底から1.5%ポイントしか上昇していない。
このため最近になって労働力の男女格差は過去最低に縮小し、2月の格差も最低に近い。
(3)賃金上昇は加速
2月の平均時給は前年比3.4%増だった。09年以来の大きな伸びを記録した一方、セクターごとに賃上げの程度に大きなばらつきが出ていることも見て取れる。例えば製造業の伸びは最低の2.63%だったが、ハイテクは約6%と数十年来の大幅増になった。
(4)広義の失業率が大きく低下
2月の失業率は3.8%に下がり、50年ぶりの低水準に迫る水準となった。また現在は職を探していないが働く用意のある人や、正社員になりたいがパートタイム就業しかできない人を含む広義の失業率(U6)の低下幅は、労働省が調査を開始した1994年以降で最も大きく低下し、7.3%という水準も01年以来の低さになった。
一部エコノミストは、このところの賃金上昇で職探しを再開する動きが出てきたとみている
(5)カナダの雇用増が米国超え
カナダの2月の雇用増加幅は、ゼロという予想に反して5万6000人近くに達し、2012年以降で初めて米国の伸びを上回った。

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