焦点:米中協議に固唾のむ米国株、命運決まる「分岐点」に

焦点:米中協議に固唾のむ米国株、命運決まる「分岐点」に
 2月15日、米株式市場は今、米中協議の結果に今後の命運が決まる分岐点に立っている。NY証券取引所で1月撮影(2019年 ロイター/Brendan McDermid)
[ニューヨーク 15日 ロイター] - 米株式市場は米中貿易協議への楽観的な見通しを追い風に2カ月ぶりの高値を付けるなど、年初から大幅に上昇してきた。ただ、米中協議は3月1日の期限を前に大詰めを迎えており、株式市場は今、協議の結果に今後の命運が決まる分岐点に立っている。
米中が合意に達すれば長期間にわたる紛争が解決し、株価を押し上げ続けると専門家はみている。
TIAAバンクのクリス・ガフニー社長は「協議が妥結して合意が成立すれば明るさが増す。企業は世界経済に対する自信を深め、株式相場は間違いなく上昇するだろう」と述べた。
市場には、S&P総合500種指数<.SPX>が15日終値から6%ほど上昇し、昨年9月20日付けた過去最高値を上回るとの見方もある。
一方、協議が決裂し、米国が2000億ドル相当の中国製品に25%の関税を課せば、相場は下落しそうだ。米連邦準備理事会(FRB)がハト派姿勢を強めたことが支えになるとはいえ、協議が大きな失望を誘う結果に終われば株価は急落しかねないとの声が聞かれる。
インベスコの首席グローバル市場ストラテジスト、クリスティナ・フーパー氏は「協議が物別れとなって輸入関税が強化されれば、S&P500種は昨年12月24日に付けた20カ月ぶり安値を割り込むだろう」と述べた。
トランプ米大統領が1年前に鉄鋼とアルミへの輸入関税導入を発表してから、通商問題は株式市場を揺さぶってきた。トランプ氏と中国の習近平国家主席は昨年末、米国が2019年1月に予定していた中国製品の輸入関税引き上げを猶予し、90日間の協議を行うことで合意。投資家はこの期限が切れる3月1日に神経を尖らせている。
トランプ氏は15日、期限を延期する可能性があると述べた。しかしジョーンズ・トレーディングの首席市場ストラテジストのマイケル・オルーク氏は「6カ月の先延ばしなら厄介だ。この問題が当面くすぶり続けるだけだからだ」と話した。
米中両国政府は北京で11日からの週に行った話し合いに進展があり、18日からの週にワシントンで協議を再開するとしている。
合意が成立した場合の市場反応の大きさは合意の具体的な内容次第となりそうだ。ホワイトハウスによると、足元の協議ではハイテクや知的所有権、農業、サービス、非関税障壁、通貨、中国の米国製品購入などが焦点となった。
また、株式市場による協議結果の織り込み度合いや、弱い経済指標が増えているといった他の材料も相場の動きに影響するだろう。
グリーンウッド・キャピタルのウォルター・トッド最高投資責任者は「合意がまとまるとの楽観的な見方が強まっており、株価にはこうした見通しがより色濃く反映されてきていると思う」と述べた。
もっとも投資家の間には、株価は既に合意成立の見通しをほぼ完全に織り込んでおり、さらに上値を追う余地は小さいとの見方がある。ジョーンズ・トレーディングのオルーク氏は、合意後の相場上昇は最大2%と予想。「合意の一報でもっと大きな上昇幅になれば驚きだ」と述べた。
半面、チェリー・レーン・インベストメンツのパートナー、リック・メクラー氏は、海外で業務展開する大企業は合意成立で一番大きな恩恵を受け、大手ハイテク企業の株価が過去最高値圏に戻す可能性もあるとみている。
(Lewis Krauskopf記者、Caroline Valetkevitch記者)

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