ブログ:輸入ごみが収入源、規制強化に揺れるインドネシアの村

ブログ:輸入ごみが収入源、規制強化に揺れるインドネシアの村
 8月16日、インドネシア政府が輸入ごみを規制しようとする動きに、そのごみで生計を立てるバングン村の住民は動揺している。写真は村人のサラムさん。ごみの選別作業で得た資金は子供の教育費や住宅購入費に充てたという。8月1日、東ジャワ州モジョケルトのバングンで撮影(ロイター/Willy Kurniawan )
Willy Kurniawan
[バングン(インドネシア) 16日 ロイター] - 外国から輸入される廃棄物への規制を強めようとする政府の動きに、インドネシアのバングン村では動揺が広がっている。かつて水田だった土地にあふれる廃棄物の分別作業のほうが、コメを育てるようも実入りがいいと、村人たちは話す。
中国が廃棄物の輸入を規制したことを受け、インドネシアでその輸入が急増している。この問題に対処するため、インドネシア政府は規制と税関検査を強化し、大量の廃棄物を輸出国へ送り返した。
環境保護団体が規制強化を称賛する一方、バングン村の住民は米国やカナダ、オーストラリアなどからの廃棄物輸入の制限によって主要な収入源が失われると警戒している。
「この仕事を禁止するのなら、解決策があるべきだ。政府は私たちに仕事を提供してこなかった」と、分別作業の休憩中にヘリ・マスドさんは語った。3600人が暮らすこの村には、うず高くごみが積まれている。
住民は廃棄物の中からプラスチックやアルミを選別し、リサイクル業者に売っている。豆腐の生産者も燃料に使う廃棄物を買っている。
マスドさんによると、廃棄物の分別で稼いだ資金は、住民がサウジアラビアのイスラム教聖地へ巡礼するためなどに使われている。「毎年、この村から17─20人が聖地に巡礼しており、ごみが資金になっている」という。
子供の教育や、住宅と家畜小屋の購入に充てたと語るのはサラムさん(54歳)。近くの製紙工場と村のブローカー役を務めるサラムさんは「今は9頭のヤギを飼っている」と話した。
廃棄物は村人により多くの収入をもたらす一方、健康を脅かしている、と環境問題の専門家は指摘する。
環境保護団体ECOTONの調査によると、バングンの地下水や近くを流れるブランタス川がマイクロプラスチックで汚染されている。水は周辺地域に住む500万人の飲料水として使われている。
インドネシアが昨年輸入した廃棄物は28万3000トンで、前年から141%増えた。
国内で発生する廃棄物も問題になっている。世界銀行が6月に公表した報告書によると、インドネシアの都市部で1日に出る10万5000トンの固形廃棄物のうち、リサイクルされるのは15%にとどまる。廃棄物の埋め立て地はどこもほぼ満杯状態で、海岸にはごみがまき散らされていることが多い。
インドネシアは10億ドルを投じ、海洋プラスチックを2025年までに70%削減する計画に着手した。だが、どの程度進捗しているかは明らかになっていない。
破棄物からエネルギーを生成する施設の建設スケジュールは、予定より遅れている。ポリ袋に課金する計画は、プラスチック業界の強い反対に直面している。

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