施設で貸し出している電動キックボード=吉野ヶ里町のイービークルパーク

 最高速度が時速20キロ以下の電動キックボードを新たに「特定小型原動機付自転車」と分類し、運転免許を不要とする制度が1日、改正道交法の施行に伴って始まった。都市部を中心に普及していて、佐賀県内で初日は走行する姿があまり見られなかったが、今後は利用者が増えることも予想される。

 電動キックボードを販売する佐賀市白山の「タツミモータース」では、初日に買い求めに来店する人はいなかった。担当の岩﨑義史さんは「乗っていると珍しくて注目されるので、ためらう人もいるのでは」と話す。シェアリングサービスで利用できる都市部と比べ、県内は認知度が低いことを痛感する。折り畳んで持ち運べる機種もあり、「近くまで出かけるのなら便利」という。

 吉野ヶ里町で敷地内を走行できる電動キックボードを貸し出す「イービークルパーク」では、事前に乗り方を説明する段階から“苦戦”する人もいる。小さな車輪に合わせたハンドルの操作や、安定して走行するためのバランス感覚が求められるという。同施設の福成孝二さんは「手軽になる分、公道では事故の恐れがある」と懸念を示す。

 県警交通企画課によると、県内で電動キックボードが関係する事故はこれまで発生していない。同課の担当者は今後の普及を見据え、「制度の浸透を図り、正しい利用を促していく。街頭での啓発活動も進めたい」と話す。

 新制度で電動キックボードは16歳未満の運転は禁止し、原則として車道や自転車専用通行帯を通行する。自転車とほぼ同様の交通ルールが適用され、ナンバープレートなどが必要。最高速度を6キロ以下に設定し、緑色のライトを点滅させれば歩道も通行できる。ヘルメットの着用が努力義務で、交通違反は交通反則切符(青切符)の対象となる。(上田遊知)