繁盛店の味を踏襲した辛いつけ麺が北千住に上陸!

北千住駅西口から徒歩7分ほど。駅前通り沿いの商店街を抜けた先に、50年もの間、地元の人たちに愛されてきた中華そばの名店「りんりん」があった。その跡地に2023年、“辛つけ”を引っさげて『STAND BY ME』がオープンした。

2023年2月に開店。真っ赤なのぼりと真っ黒な外観が通行人の目を引く。
2023年2月に開店。真っ赤なのぼりと真っ黒な外観が通行人の目を引く。

店主の藤井大輔さんは、都内のつけ麺店で7年ほど修業を積み、独立開業した。惜しまれながらも閉店した「りんりん」のように、この店も地元の人たちに親しまれる店にしたいと話す。

元営業マンの店主・藤井大輔さん。
元営業マンの店主・藤井大輔さん。

『STAND BY ME』の辛いつけ麺は鶏がらベースのスープに、浅草開化楼謹製の特注麺を使用している。「浅草開化楼さんにもスープを試食していただき、数あるご提案の中から辛さに負けない風味豊かな全粒粉のものを選びました」と藤井さん。このあといただくのが楽しみだ。

つけ麺のスープが入った石鍋を直接火にかけて、アツアツで提供する。
つけ麺のスープが入った石鍋を直接火にかけて、アツアツで提供する。

辛さの中に甘みと旨味があるパンチの効いたドロッとスープ

スタッフさんに食券を渡して、辛つけを並盛で注文。筆者は辛いもの好きではあるが、ひとまず小辛にしておこう。

辛つけ980円と味玉100円。麺の量は小盛150g、並盛200g、大盛300g(プラス100円)、特盛400g(プラス180円)。
辛つけ980円と味玉100円。麺の量は小盛150g、並盛200g、大盛300g(プラス100円)、特盛400g(プラス180円)。

石鍋の中でマグマのようにぐらぐらと煮立つ真っ赤なスープ。見るからに辛そうだが、果たしてどの手の辛さだろうか? ドキドキしながらひと口すすってみると……甘い⁉ けど辛い! そして旨い!! といった具合で実に味わい深い。辛さよりも甘みが先にくるのだが、あとのほうでしっかりと唐辛子の辛さが引き立ってくる。

四川料理のような辛さではなく、花椒のようなしびれ系の辛さもない。
四川料理のような辛さではなく、花椒のようなしびれ系の辛さもない。

「韓国のコチュジャンなど、数種類の調味料をブレンドした辛味噌からおりなす究極な旨辛つけ麺です。味噌ベースの食べるラー油みたいな感じです」と藤井さん。担々麺や麻婆麺、辛麺や辛味噌ラーメンとは異なる辛さで、旨味が辛さにまったく負けていない。

続けて、特製の太麺をいただくとしよう。「まずは何もつけずにそのまま味わってください」と藤井さん。ツルリと麺を口に運ぶと小麦粉の風味と香りがほのかに感じられ、麺自体に味があってこれは旨し。

全粒粉でつくる太麺は加水率が高めで、ツルツルののどごし&もっちもちの食感。
全粒粉でつくる太麺は加水率が高めで、ツルツルののどごし&もっちもちの食感。

そして、いよいよ麺をマグマに投入!ドロッと濃厚なスープがしっかりとからんだ麺をアツアツのまま口の中へ。ん~、熱旨ッ! ニンニクがほどよく効いているので、ますます食が進む。これは並盛では足りないかも。

ちなみに、トッピングのバター100円やチーズ200円を加えるとコクが出てまろやかな辛みになるそうなので、辛いものがあまり得意でない方はぜひお試しあれ。

辛さは大・中・小から選べる。辛さを増したかったらカプサイシンパウダーを足してもらえる。
辛さは大・中・小から選べる。辛さを増したかったらカプサイシンパウダーを足してもらえる。
石鍋の底にずしっと沈んでいた厚切りチャーシュー。とろっとろの牛スジも入っている。
石鍋の底にずしっと沈んでいた厚切りチャーシュー。とろっとろの牛スジも入っている。

「おいしい」と連呼する筆者を前に、「こうしてカウンター越しにお客さんの反応が見られて、話しかけることもできるのがいいんですよね」と藤井さん。

「麺類はだいたい1000円くらいで食べられるから客層が幅広いんで、いろんな人に出会えるのがおもしろくて。お客さんと交流できるのが一番のやりがいになっています」。

最後に、この店のスープ割りは絶対にいただくべし! 濃厚なスープがまろやか&ちょっぴりさわやかに味変されて、最後の1滴までおいしく飲めちゃうのだ。スープを飲み干してしまう前に、おなかに余裕があったら追い飯をするのもおすすめ。

スープ割り(ゆず入り)に小ライス100円を入れて雑炊風に。
スープ割り(ゆず入り)に小ライス100円を入れて雑炊風に。

店一番の“名物”は気さくな店主の人柄!

辛さがウリの『STAND BY ME』だが、「仲間や家族、みんなで食べに来てほしい」という想いから、藤井さんは辛いのが苦手な方や子どもも食べられる鶏白湯スープのつけ麺もつくった。

鶏つけ950円。開業する前に鶏だしラーメン店からも教えを受けたという。
鶏つけ950円。開業する前に鶏だしラーメン店からも教えを受けたという。

鶏つけはスタッフの恵美さんも大好物だそう。「スープはもちろんですけど、麺がほんっとおいしくて」と恵美さん。それを聞いた藤井さんがすかさず「麺をつくってるのはおれじゃなくて、浅草開化楼さんなんですけど」と夫婦漫才のようなやりとりが始まり筆者も大笑い。なんとも楽しげな雰囲気で、食事が一層おいしく感じられる。

スタッフの恵美さん。藤井さんとは小学校時代からの幼なじみだそう。
スタッフの恵美さん。藤井さんとは小学校時代からの幼なじみだそう。

恵美さんは藤井さんの幼なじみで、藤井さんの妹さんや同級生のスタッフとともに店を支えている。藤井さんは「つくり手の自己満足にならないように」と、日頃から信頼するスタッフたちにスープの味を確認してもらっているそうで、みんなでおいしい店づくりを目指していることがうかがえる。

L字カウンターが6席。夕方から夜の時間帯がねらい目!
L字カウンターが6席。夕方から夜の時間帯がねらい目!

店の魅力を恵美さんにうかがうと、「いいお店って、おいしいのはあたりまえじゃないですか。うちの店の一番の魅力って、実は店主の人柄だと思うんです。藤井くんは一度来た人の顔はちゃんと覚えていて気さくに声をかけたり、さり気ない気遣いができたりして、すごくやさしくていいやつなんですよ」。

客が気持ちよく食事ができる空間を提供している藤井さん。この店は藤井さんや恵美さんの心遣いが端々に感じられ、筆者はたちまち店と2人のことが好きになった。類は友を呼び、客も呼ぶのである。

ところで、店名の『STAND BY ME』。これって名作映画のタイトルですよね?

映画“STAND BY ME”のワンシーンが店内にいくつも飾られている。
映画“STAND BY ME”のワンシーンが店内にいくつも飾られている。

「子どもの頃から映画が大好きで、なかでも“STAND BY ME”は自分の原点ともいえる作品なんです。この映画で描かれている少年たちのように、自分にとって地元の仲間はかけがえのない存在で、新しいことにチャレンジする時はいつも友人が心を奮い立たせてくれます」。

藤井さんが独立を決めた時も、きっと友人たちが後押ししてくれたのだろう。友情を大切にする店主の人となりを垣間見た気がする。

“STAND BY ME”ごっこをして遊んでいたという藤井さん。幼なじみとは今も変わらぬ友情が続いている。
“STAND BY ME”ごっこをして遊んでいたという藤井さん。幼なじみとは今も変わらぬ友情が続いている。

映画“STAND BY ME”の劇中に、「12歳の頃に出会った友人を、その後の人生で持つことはないだろう……」というセリフがある。恵美さんをはじめ、そんな無二の友たちに力を借りながら藤井さんはこの先、店をどんどん成長させていくだろう。『STAND BY ME』の“冒険”は仲間とともに、ここから始まるのだ!

構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=コバヤシヒロミ