2容疑者に浮かぶ計画性 那須遺体焼損事件 被害夫婦と接点、事件前日は一緒に物件探しか

不動産会社の家宅捜索を終え、引き揚げる捜査員=7日午後3時50分、東京都台東区

 那須町伊王野の河川敷で4月中旬に東京都内で飲食店などを経営していた夫婦の焼損遺体が見つかった事件は7日、発覚から3週間を迎え、大きく動いた。栃木県警と警視庁の合同捜査本部は死体損壊の疑いで、夫婦と接点があり、主導役とみられる男ら2人を逮捕。自宅などを家宅捜索した。移送された両容疑者はうつむくなどし、表情はうかがい知れない。事件では被害者と面識のない指示役や実行役ら4人が逮捕され、計画的だった可能性が浮かぶ。発端となった動機は何か。仕事面でのトラブルを含め、捜査本部は解明を急ぐ。

 7日午前7時25分ごろ、警視庁大崎署。同容疑で逮捕された千葉県船橋市、会社役員の男(36)がワゴン車から降りてきた。グレーのスエットに黒のズボン姿で、終始うつむきながら署内に入った。その約1時間50分後。東京都世田谷区、会社役員の男(32)が移送のため同署から出てきた。上着で頭を覆うようにし、捜査員に支えられワゴン車に乗り込んだ。

 事件の逮捕者では初めて、被害者夫婦との接点が浮上した。遺体で見つかった東京都千代田区、会社役員の男性=当時(55)=と妻の会社役員の女性=同(56)。32歳の男は夫婦の長女と内縁関係にあり、会社ではマネジャーを務めていた。事件前日、両容疑者は被害者夫婦と一緒にいたことが確認されており、不動産の物件探しとして連れ出した可能性もある。

 捜査本部は7日午後、36歳の男が役員を務める東京都台東区の不動産会社を家宅捜索した。捜索は3時間近くにおよび、関係資料を運び出したみられる。

 捜査本部は、32歳の男が夫婦の遺体の処理を、指示役とされる住所、職業不詳の男(28)に依頼したとみている。捜査関係者によると、職業不詳の男のほか仲介役、実行役とされる計4人は調べに対し「報酬を受け取った」などと供述。金銭目的だったとされる一方、それぞれのつながりは希薄だったとみられる。

 事件の中心的人物として浮上した32歳の男と、事件直前に夫婦に物件を案内したとされる36歳の男。捜査関係者によると、それぞれ容疑を否認しているという。捜査本部は複数人が関係した計画的な事件だったとの見方を強め、供述の信ぴょう性や動機、経緯を捜査している。

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