ペラペラ飛行機の思い出

駄菓子屋で売られていたソフトグライダーは、平べったい長方形の袋にペラペラなスチロール製の翼と胴体が入っていて、説明するのもバカバカしいくらいの簡単な手順で組み立てられた。このペラペラな飛行機は、子どもの頃の私の相棒だった。

少年時代、駄菓子屋で売っていた「ソフトグライダー」は今も実在するのか?_1

放課後、ある程度の数の友達が集まればだいたい、ボールを使った遊びに軍配が上がった。その決定は民主主義でもなんでもなく、体を動かすのが得意なガキ大将的な子によって下され、なぜかいつも反論は出なかった。

運動が苦手な私は、子ども心にも頭数合わせのポジションになるのがいたたまれず、ときにそっとフェードアウトして一人で飛行機を飛ばしに行った。

そんな"みそっかす"の相棒であったこの飛行機が、一度だけ私をヒーローにしてくれたことがあった。

母の友人の子どもに4姉妹がいた。ある日、4姉妹は我が家に預けられ、私が一緒に遊んで過ごすことになった。下は立って歩くのがやっとの子、上は私より少し上のお姉さん。その日全員に、駄菓子屋を営む母が与えたのがこの飛行機だった。

初めて見る飛行機に喜ぶ4姉妹と一緒に、私は飛行機を組み立て、原っぱに向かった。
4姉妹の前で私は、「こう飛ばすんだよ」と飛ばして見せたが、飛行機は勢いよく一回転してそのまま頭から墜落した。大事故だ。機体ではなく顔から火が出た。

しかし、そこですかさず一番上のお姉さんが「ヒデくん、スゴイねえ! 私たちもやってみようよ!」と私をフォローしてくれて、その後は飽きるまで飛行機を飛ばして遊んだ。

スクールカースト最底辺にいた自分の小学生時代、女子とあれだけ楽しく長く過ごせたのはあの日だけだったように記憶している。

この飛行機には、そんな懐かしくもあまり自慢にならない思い出がある。思い出話が長くなったが、40年の時を越え、近所の駄菓子屋で久しぶりにそれを見つけた。