カチョがチーズでペペは胡椒! ローマの伝統料理だよ!

みなさん、チャオチャオー。旅をおあずけされた旅人マリーシャです。わん。

旅人でも作れるカンタン世界飯シリーズ「おうちで世界飯」第9回。今回挑戦するのはイタリアといえばパスタ。ローマを代表する超シンプル「カチョエペペ」です!

カチョエペペは、カチョがチーズ、ペペが胡椒という意味で、その名のとおりチーズと胡椒だけの超シンプルパスタ。カルボナーラ、アマトリチャーナに並んでローマの3大パスタとして有名な伝統料理です。

今でこそ日本でも知られるようになりましたが、私が初めてこのパスタに出会ったのは、まさにローマに行った時のこと。イタリア料理を勉強するために旅をしているという日本人と安宿で出会い、彼のミッションに便乗。夜のローマを歩き、人気レストランに辿り着きました。

ローマの夜道。遺跡のライトアップが美しい

イタリア料理を勉強中の旅人オススメのレストラン「Roscioli(ロショーリ)」

「ここはカルボナーラが有名なんだよ。それと......、カチョエペペも食べてみようか?」

「へ? カト......ペ?? カトちゃんペ? なにそれ?」

キョトンとする私の目の前にやってきたのは、チーズと胡椒がかかっているだけの具のない黄色いパスタだった。

「え。なんてシンプル!」

しかし食べてみてわかるのが、素材のポテンシャルと見えないお仕事。モチモチとした食感の麺に胡椒のスパイシーさが染み込んで、塩味の強いペコリーノ・ロマーノという羊の乳のチーズと見事に絡み合っている!

「う、うまー! これがカチョエペペか! こんな少ない材料だけで勝負するなんて、硬派なパスタだなぁ......」

ローマで食べた、人生初のカチョエペペ!

よし、今回は材料も超シンプルだし、手打ち生麺とまではいかないが、ちょっとイイパスタを使おう。私が選んだのは、ミシュラン星付きレストランでも愛用されているという、イタリアのマルケ州産小麦100%の「MANCINI(マンチーニ)」のパスタ。太さ1.8mmのスパゲッティーニを使います!

それでは、レッツクック!

今回のポイント食材はペコリーノ・ロマーノ(輸入食材店で600円程度)と、高級パスタ「MANCINI(マンチーニ)」のスパゲッティーニ(オンライン通販で500g千円程度)

<材料> 1人分

 ・パスタ(お好きなブランドで太めのタイプを!)...100g

 ・ペコリーノ・ロマーノ(塊が好ましいが粉でも可。パルミジャーノ・レッジャーノで代用可)...30~50g

 ・黒胡椒(粒が好ましいが挽いたものでも可)...3g

 ・パスタをゆでる用の塩...5gくらい

●トッピング(お好みで)

 ・ペコリーノ・ロマーノ...適量

 ・黒胡椒...適量

<ワンポイントメモ>

*チーズもスパイスも、擦りたて挽きたてが香りが立って美味しいです!

*パスタをゆでる時、お湯に対して塩1%が一般的ですが、カチョエペペはチーズの塩味が強いので、今回は塩0.5%で行ないます。

材料:パスタ(スパゲッティーニ)、ペコリーノ・ロマーノ、黒胡椒、パスタをゆでる用の塩

<調理>

1.鍋に水1リットルを沸騰させて塩を加える。(ペコリーノ・ロマーノに塩分があるので、塩は控えめにする。塩を加えるタイミングは諸説あるけどいつでもOK!)

2.お湯を沸かしている間に、ボウルにペコリーノ・ロマーノをすり下ろす。今回は30g使用。(チーズおろし器は「Microplane」というメーカーのものがオススメだけど、大根おろし器などでも代用可)

3.黒胡椒の粒を砕く。(ミルでも挽いたものでも可)

4.沸騰したらパスタを表示時間より3分ほど短くゆでる。

5.ゆでている間に、フライパンで砕いた胡椒を中弱火で香りがたつまで炒る。

6.フライパンにパスタのゆで汁をおたま1杯加え、ゆで汁に胡椒の香りをうつす。

7.パスタを表示時間より3分前にあげてフライパンに投入し、ゆで汁をおたま一杯入れて麺に吸わせていくように和えながらゆでる。(水分がなくなったらゆで汁を追加)

8.すり下ろしたペコリーノ・ロマーノにおたま1杯のゆで汁を入れて溶く。

9.パスタを味見してアルデンテ(歯ごたえが残る状態)手前になったら火を止め、ペコリーノ・ロマーノを投入し余熱で溶かしながら和える。

10.ペコリーノ・ロマーノが全体に絡んだら、皿に盛り付け。

11.トッピングにペコリーノ・ロマーノと黒胡椒(分量外)をふりかけて完成!

<実食>

部屋の中にはすでに、独特なチーズの香りが漂っていて、自分でいうのもなんだけれどまるでレストランのよう。

「あれ、ここローマかな」

これまで作ってきた世界飯とは一味違う。やはりイタリア料理は食欲をそそるというか......、いよいよお家で世界飯の本領発揮か。そして、現地のものとは遠い見た目となってしまったが、我ながら美しく盛り付けたパスタをフォークの先ですくい上げ、チュルンッ。

チュール、チュール、カチョ、チュール!

「ペッパー!!!!」

口の中に広がるのは、見た目のシンプルさからは想像できない胡椒のスパイシーなパンチ! これにはノックアウトです。そしてチーズは結構な量を絡めたはずなのに、ゆで汁で溶いているからだろうか、意外に爽やかな口当たり。塩味は濃いめです!(薄味好きはゆでる塩減らしてもいいかも?)

「勝利!」

とてもボーノだったため、思わずガッツポーズが出ました。このシリーズ始まって以来、初です。そしてそっこー完食しました。

美味しさにご満悦で、思わず上唇がネズミヒゲになった

麺は本場のモチモチ感とまではいかなかったけれど、マンチーニのパスタは小麦の風味やコシのある食感で満足度が高い! シンプルな料理だからこそ、素材にこだわりたいって人にオススメです。ただし、カルボナーラやカチョエペペなら、もっと太いタイプで力強さを感じても良いかもしれない? (後日、リングイネでも作ってみたら、麺の太さに食べ応えを感じる!)

リングイネでも作ってみた。カチョエペペは太い麺が合う!

今回は本当にベーシックなレシピでカチョとぺぺだけにしたが、レシピは他にもバターを入れたり、チーズを2種類使ったりと色々ある。次はちょっと邪道に、トリュフ塩や山椒をかけてみたいと思った。

当時、その名前からカトちゃんしか思い浮かばなかった私が、現地で出会った旅人のおかげで、日本でもメニューに見つければ頼むようになり、ついに自分で作るに至った。

「また絶品料理に出会う旅がしたい!」

私にとってのカチョエペペは、旅中に食べた料理の中でもとりわけ印象深い一品であるのだった。

カチョエペペを食べてローマの旅を妄想!

★旅人マリーシャの世界一周紀行:第298回「ボブ・マーリーも舌鼓? ジャマイカ料理『ジャークチキン』は漬けて焼くだけ!」

●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。コラム連載は5年間半を超える。Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】

★『旅人マリーシャの世界一周紀行』は毎週木曜日更新! ★