もう壁にぶつからない! 老犬がごきげんにぐる活できる「ぐるぐる歩行器」 の作り方

 老犬の旋回や徘徊=“ぐる活”をするようになった16歳の柴犬モカ。さらに足腰が弱くなりふらふらしてすぐ転んでしまうため、歩行器が必要になったのですが、すぐに壁にぶつかってしまい前に進めません。「わ〜ん!助けて〜!」

 そんなモカを救うため、壁にぶつかることなく自分でまわれる装置を作りました。作り方はシンプルで費用もお安い。ぜひ参考にしてください。

ポール台とイレクターパイプで作れる

 この装置は、中心に置いた土台と歩行器がつながっていて、この土台を中心に老犬が歩行器でぐるぐると歩くことができます。正式名称が見当たらず、そのためインターネットで検索しづらい、さらにSNSやYouTubeで見つけたとしてもみなさんオリジナルで作られているから、モカのサイズや部屋の広さに合うようにアレンジするのがむずかしかったのです。

 そこでインスタグラムでつながった老犬の飼い主の先輩に作り方を教えていただき、さらにDIYが得意な友人に頼み、汎用(はんよう)性の高い簡単な設計でつくってもらいました。

 ではさっそく作り方を説明していきます。

ぐるぐる歩行器の作り方
横からみたところ

 中心の土台部分はこのようになっています。

 “棒”は「イレクターパイプ」、そしてイレクターパイプをつなぐのが「イレクタープラスチックジョイント」という名称です。

【用意するもの】

  1. ポール台(別名:注水台)
  2. 直径28mmのイレクターパイプを2本(ポール台に挿すのに1本、歩行器とつなぐのに1本。オプションとして歩行器に取り付けられる部位があるなら3本を用意する)
  3. 直径28mmのイレクタープラスチックジョイントを2つ(イレクターパイプ同士と、イレクターパイプと歩行器をつなぐ)

ぐるぐる歩行器の作り方
上から見たところ。パーツをはずしました

 具体的に説明していきます。ジョイント部分は名称がないため、実際に購入した商品のリンクをつけていきますね。

① ポール台は、本来は旗を挿す土台になる部分で、水や砂を入れて重さを足します。愛犬の体重より重くなるタンクサイズを選んでください。約6キロのモカには8リットルを選びました。モノタロウで購入。

② ポール台に挿すイレクターパイプ。床から歩行器までの高さを計り、それよりやや長めに糸のこぎりなどでカットします。希望の長さにカットして購入できるウェブサイトもあるので探してみてください。

 ポールを挿す部分が奥にいくにしたがって細くなるので、パイプの先端に円すいのプラスチックジョイントを取り付けましたが、なくても問題ありません。

③ 歩行器へつなげるイレクターパイプ。愛犬がおうちで回るにはどのくらいの半径が必要か計って、長さを決めてください。左右の先端には、プラスチックジョイントが付いています。ポール側はこのタイプ、歩行器側はこのタイプ

④ これはオプションと思ってください。イレクターパイプと歩行器をつなぐジョイントの直径と、歩行器のポールの太さが合わないためつくってもらいました。

ぐるぐる歩行器の作り方
④を歩行器にはめて上から見るとこうなっています

 ジョイントと歩行器のポールの太さがあわなくても、滑り止めシートをぐるぐる巻いたり、補強したりすれば④がなくても使えます。ただし、激しめに歩く老犬は、ジョイントひとつだけだとやや不安定なので、可能でしたら検討してみてください。

⑤ポール台のキャップ部分。使用時は取り付けてパイプをぎゅっと締めます。

ぐるぐる歩行器の作り方
平行につなぎます

 歩行器とつないだら、パイプが床と平行になるように調整します。斜めになると片側のタイヤが浮いてしまうので気をつけてください。

 高さ調整のために、ポール台に挿したパイプ部分の下にストッパーを付けてもいいと思います。私はひとまずハンカチをストッパー代わりにしました。

ポール台の下には滑り止めを!

ぐるぐる歩行器の作り方
滑り止めも必須

 モカのようにたくさん歩く老犬さんは、いつの間にかポール台がずりずりと動いてしまうので、滑り止めを敷いてあげてください。

 私が実際に使っていいと感じたのは、「①滑り止めシート」+「②ヨガマット」です。カーペーット自体もグリップが効くものを使用していますが、どちらか一方だけだとあっという間にずれてしまうため、二重使いしています。

小型犬ならワンコステーションという選択も

 小型犬や、激しく歩かない子なら「ワンコステーション」もありだと思います。うちでも一時的に使いましたが、モカはふらふらする上、激しく歩きワンコステーションに乗り上げてしまうので断念しました。

 リードが絡まないようにリード部分にプラスチックの筒を通すなど、歩行器がワンコステーションに乗り上げないようにして使っている老犬さんもいます。ただし“重たい石”なので、危険がないように、ぐる活中は飼い主さんが見てあげてくださいね。

ワンコステーションと老犬
ワンコステーションをリードでつなげて使ってみたところ。この頃はまだヨガマットを敷いていた

老犬介護は試行錯誤の連続

 ぐるぐる歩行器が完成するまで、私がこの中心部分を担っておりまして(笑)、昼夜問わず1時間半ごとに起きて1時間しっかりぐる活するので、いやはや大変でした。 

 完成してからのぐる活ももちろん見守っていますが、手は離れるのでとてもラクになりました。モカは壁にぶつかることなく、ごきげんでぐるぐる回り、ときには集中しすぎか興奮してほえ出すこともありますが、安定して歩けるので満足しているようです。

 そういえば、歩行器でのぐる活を始めてから、敷いていたヨガマットはタイヤ痕により3日でボロボロになりました。

ぐるぐる歩行器の作り方
愛車は「天使の車輪」でオーダー。小回りが利いていい感じ

 老犬になると、日々、試行錯誤の連続です。しかし欲しい情報が見当たらない……ということが多いのもわかりました。

 そんなときに救われたのがインスタでつながった、犬の飼い主さんたちです。まだ利用されていなかったらぜひ活用してみてくださいね。愛犬と同じサイズの子や同じ病状・お悩みをもった方に出会え、励まされます。

 そして私と同じように困っている老犬の飼い主さんがいたら、この記事を紹介していただけたらうれしいです。

 老犬介護、無理せずがんばりましょう!

 ぐるぐる歩行器でぐる活中。爆走した後なのでおむつがちょっと外れていますが、ごきげんです。たくさん回ってくれるのでぐるぐる歩行器の可動部分から音が鳴るようになり、メンテナンスするつもりが余計悪化させてしまいましたが(2つめの動画)、シリコーン系のグリースを使うと鳴きやみむようです。

 試行錯誤が増えるのは私のせいかもしれませんね(笑)。こんな感じで介護を楽しんでいます。

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小見山友子
2020年4月~sippo編集部に所属。 ファッション業界に従事後、オウンドメディアの編集長をする傍ら、2014年にWEBマガジン「INUTONEKOTO」を主宰。2015年にフリーライター・編集者として独立。ペット、ファッション、旅、サーフィン関連の執筆、編集をしている。instagram @tomokokomiyama

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