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西武の強心臓ルーキー・水上由伸「四球で崩れることはない」制球力と強気な投球で更なる高み目指す 2021若獅子インタビューvol.5

新しい背番号69を披露する西武の水上由伸
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西武ライオンズ提供

強心臓ルーキーが感じたプロの壁

四国学院大学からドラフト育成5位で入団した水上由伸。大学3年から投手に転向し、打者の内角も強気で攻めるピッチングが魅力だ。自他ともに認めるポジティブ思考でチームのムード―メーカー的存在でもある。

今回は、晴れて5月13日に支配下登録契約を結び、背番号も二桁の“69”となった水上が今、どのような課題と向き合い、さらなる飛躍を目指しているのか紹介していきたい。

今は中継ぎでの登板が主だが、いずれは先発投手として活躍することを目指す水上。「でも正直なところ、先発って難しいなぁと思ってしまったんです」とこぼしていたのは5月の上旬。アマチュア時代は打者の技術にバラつきがあったが、プロの世界ではそうもいかないことが大きな違いだ。

4月は一軍で実績のある選手との対戦もあったが、甘いところに入ればことごとく打ち返された。初めての経験ばかりでプロ1年生には精神的にも肉体的にも負担が大きい。今、少し弱気になってしまっている胸の内を明かした。

制球力に自信も「決め球がない」

持ち球は直球、カーブ、スライダー、カットボール、シュート、フォーク。制球力には自信があると話す。「フォアボールで崩れることはないですね」と言い切るくらいだ。「打たせて取る、(味方の)攻撃にいいリズムでつなげられるようにと思っていつも投げています」と自身の投球スタイルを語った。

ここまで15登板の水上だが、4月6日CAR3219フィールドで行われた北海道日本ハムファイターズ戦、1点リードで迎えた最終回、武隈から二死でバトンを渡されるも、5失点。その裏、チームは得点できず逆転負けを喫した。

初めての大量失点に「あの時の5失点はさすがに堪えました。甘く入った球もありましたが、うまく打たれたという感じです。僕は決め球がないので、落ちる系のボールを自信を持って投げられない事が要因だと思っています」と振り返った。

強気な投球で勝ち取った支配下登録

1年目から支配下登録を目指し、そのつもりでマウンドに上がっていた水上。何事にもポジティブ思考で、マウンド上で気持ちの切り替えができる強心臓の持ち主である。

そんな水上に吉報が届いたのは5月12日の夕方。強気な性格と、しっかり打者と対峙して、ストライクゾーンで勝負することができる点が評価され、入団から半年経たずして支配下選手となった。

渡辺久信ゼネラルマネジャーは「本当に強気な性格。ただこれは、とても大事なことで、(今後一軍の)試合の中でも打者のインコースに投げることができると思います。ボール自体も強く、変化球も多彩なので、これから戦力になってくれると思います」とコメントした。

全12選手のルーキーの中で最も低い順位で指名を受けた水上だが、「一番最初に支配下登録されたらカッコイイなと思っていた」と入団当初からの夢がひとつ叶った瞬間だった。

支配下登録発表会見で笑顔の水上由伸


一方で、会見当日はチームの練習日だったが、いつもと変わりなくやり過ごすのが精いっぱい。練習中、終始笑みがこぼれ、吉川光夫投手から突っ込みを受けるほどだった。

公の取材は、新入団選手記者発表会以来だったが緊張する様子はなく、持ち前の明るさで会見を終えた水上。「支配下選手契約を結んでいただき、素直にうれしいです。さらに身が引き締まる想いです」と素直に喜びを口にした。

ただ、ここが最終ゴールではない。「コントロールには自信がありますが、打者の内角を攻めていけるところを評価していただいたのではないかと思います。一日でも早く一軍に上がることが今の目標です」と今後の活躍を誓った。

~インタビュー後記~
笑いの絶えない取材時間で、ニコニコハキハキとこたえてくれる姿はルーキーそのもの。だが、そう見えて休日は1日中Netflixだというほど、インドア。ホラーもサスペンスもアニメもジャンルは幅広い。リフレッシュ法はカラオケ。いたるところで水上の歌声が響いているのは有名な話。歌手では長渕剛さんや吉川晃司さんが好きなのだそう。

(写真は西武ライオンズ提供)

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