馬体重2桁増はむしろ歓迎
過去10年、菊花賞では神戸新聞杯組が【8-6-4-46】。この菊花賞最有力ステップである神戸新聞杯は今年、中京芝2200mで施行される。スタミナも問われる阪神芝2400mと適性上は似ている条件ながら200m短いレース。
これが本番にどう影響するかはレース後の話として、今年は三冠を目指すコントレイルが登場。なす術なしの予感もするが、馬券対象は3着までなので残る2枠、検討の余地は残されている。
データは神戸新聞杯というレースの立ち位置、ローテーションなどを中心に過去10年のものを使用する。
1番人気が【7-2-0-1】と、人気別成績はほぼコントレイル勝利といっていい状況。上位人気同士で決まるレースなので、あえて別の角度から。ということで馬体重増減別成績を。菊花賞の始動戦である神戸新聞杯は休み明けで出走する馬が多く、馬体重の増減に傾向がある。
体重増の組は【6-5-6-46】。3歳夏を越して成長している馬がやはり優位。ちなみに10キロ以上増えた馬は【3-2-3-13】勝率14.8%、複勝率38%。大きく増えてきたことを理由に嫌う必要はなさそうだ。
春の既成勢力か夏の上がり馬か。秋のトライアルレースはそこがポイントになるが、データ上では前走GⅠ組【9-6-3-29】と10年で9勝。勝つのは春の既成勢力で、2勝クラス【0-3-3-31】など夏の上がり馬はここでは馬券圏内突入で権利取り成功というケースが多い。
日本ダービーで掲示板以上または前走2勝クラスで接戦
では大勢を占めるGⅠ組をさらに調べる。
取り上げるほどのことではないが、日本ダービー組【9-6-2-25】がほとんど。宝塚記念5着から神戸新聞杯3着になった12年マウントシャスタがいるが、今年、そのローテは不在。そもそも3歳で宝塚記念出走は例外的な存在だ。
皐月賞以来という組は【0-0-0-4】。皐月賞以来出走がない=馬の状態になにかあったから、というケースが多いのだろう。ここも今年は想定にいないので、結局のところ日本ダービー組に注目だ。
ダービー馬は神戸新聞杯で【4-1-0-0】と、3着以下はない。コントレイルが2着以下に崩れるシーンはデータをみるまでもなく想像しにくい。
ヴェルトライゼンデのダービー3着【0-1-0-0】、ディープボンドの5着【1-0-0-0】は意外なほど数が少ないものの、日本ダービー掲示板以上と以下では、神戸新聞杯の成績に明暗がある。
マイラプソディやビターエンダーを消せるデータではないので取り扱いは注意したいが、評価としてはヴェルトライゼンデやディープボンドを上位としたい。熱発でセントライト記念を回避したヴェルトライゼンデは、状態が気になるところ。
乗り替わりでは勝てないというデータがあるダービー。だが、ダービーの後の乗り替わりは気にしないでいいようだ。
継続騎乗【6-4-2-15】勝率22.2%、複勝率44.4%、乗り替わり【3-2-0-10】勝率20%、複勝率33.3%で率はほぼ互角。秋緒戦で心機一転、騎手を替えてくることはマイナスにならない。
ダービー組断然とはいいながら、上がり馬的な伏兵が来る可能性はないだろうか。前走2勝クラス組をさらに調べる。
2勝クラスを勝った組だが、その着差が大きい組は不思議と神戸新聞杯では来ていない。
馬券に絡んだのは、2勝クラスを0秒0~0秒2差で勝った馬か0秒0差で負けた馬ばかり。接戦で勝ち負けを演じた組が神戸新聞杯で結果を出している。接戦を経験することで、さらにレベルがあがっても頑張れるように馬が成長するということだろうか。
信濃川特別を0秒1差で勝ったターキッシュパレスあたりが出走できれば、面白い存在になりそうではある。コントレイル断然は認めるにしろ、馬券圏内は3着まで広げられるので、人気の死角になるような馬をしっかり掘り起こしたい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。