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奥埜博亮、山根視来、菊池流帆らタックル自慢10人のJ1バイプレーヤーズ

2021 3/28 11:00小林智明
ヴィッセル神戸・菊池流帆Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

セレッソ大阪の“裏キーマン”奥埜が暫定タックル王に輝く

シュート数やスプリントデータなど、オフェンスに関わるスタッツが注目されがちだが、今回は「タックル」に焦点を当ててみた。タックルの総回数と成功率(タックル後に自チームのボールになった割合)のランキングを掲載。球際での闘い、デュエルでチームに貢献できる“バイプレーヤーズ”が集まった。

ポジション別ではDF4人、MF6人がランキングを占めた。さらにポジションの内訳を見てみよう。

センターバックは意外に少なく、菊池流帆(ヴィッセル神戸)のみ。サイドバックは山根視来(川崎フロンターレ)、山川哲史(ヴィッセル)、吉田豊(名古屋グランパス)の3人。ボランチは奥埜博亮、原川力(ともにセレッソ大阪)、前寛之(アビスパ福岡)、ヒシャルジソン(柏レイソル)、宮澤裕樹(北海道コンサドーレ札幌)の最多5人がズラリ。攻撃的なポジションでは唯一、サイドハーフの坂元達裕(セレッソ)が入った。

J1リーグのタックル数ランキング


なお、新型コロナウイルス感染症のチーム内クラスターが起きたガンバ大阪と、その対戦カードの相手は試合が延期となった。逆にACL参戦の王者フロンターレは前倒しでセレッソと対戦し、すでに7試合を消化。データ的に有利なセレッソから3人、フロンターレから1人がランクインした。

顔触れは日本代表に初招集されたアタッカーの坂元、右SBの山根とプレーメーカーの原川と実力者が揃う(ケガのため坂元、原川は代表に不参加)。

そして残るセレッソ勢の一人、リンクマン奥埜が、シーズン序盤のタックル数1位の座を獲得した。昨季はFW、ボランチの両ポジションでプレーし、全34戦に出場。今季は現状ボランチに専念。開幕のレイソル戦で試合別走行距離ランキング2位の13.29kmを走るなど、中盤の広域でボール狩りに励む。

成功率では川崎フロンターレ山根とヴィッセル神戸・菊池がNo.1

タックル数上位10人の中でのタックル成功率では、全くの同率79.2%で山根と菊池がトップに輝く。両者はタックル数でも各24回と仲良く2位に。しかしながら、タイプは全く異なるDFだ。

右SB山根は地上戦が強く、アシスト数も現在リーグ1位の「4」をマークするなど、攻守において芸達者なのが魅力。しかしながら、空中戦だけは勝率37.5 %と分が悪そう…。

片や188㎝・80kgの頑強ボディのCB菊池は、空中戦勝率80%。「気迫の漢」とも呼ばれ、エアバトルの際に「どりゃあー!!」と、スタンドまで届く雄たけびを上げる。5節フロンターレ戦では、5連勝中の王者を止める渾身の同点ヘッド弾を決めて咆哮。今の対人プレー勝率を維持できれば、自ら豪語する「日本代表に入る」夢も現実味を帯びてくる。

アビスパの主将・前寛之も、70%以上のタックル成功率を誇る。J2在籍の昨夏は新型コロナウイルスに感染したものの完全復活。今季の平均走行距離は10.9㎞と、チーム内でトップに立つ。ロングパス成功率も75%と高く、J1の舞台で心技体が充実している。

名古屋グランパス吉田らのタックル職人も見逃せない 

ヴィッセル菊池の隣で守る山川も、身長186㎝とスケールの大きなプロ2年目の右サイドバック。本職はCBとあって攻撃参加は控えめ、守備への意識が高く球際が強い。

開幕6連勝&総失点数1、「カテナチオ」が浸透したグランパスの不動の左サイドバックと言えば吉田豊だ。フィジカルの強さを前面に押し出し、躊躇なくハードタックルを見舞う。

レイソルのヒシャルジソンの昨季タックル数は、トータル82回。同数だったフロンターレ山根と一緒にランキング4位へ入った。「ボールハンター」の異名を持ち、ブラジル人特有の華のあるテクニックの代わりに、鋭利なタックルで何度も襲い掛かる仕事人だ。

北海道出身でコンサドーレ一筋14年目、31歳の宮澤も名脇役。相手FWの立ち位置によっては、最終ラインまで下りてCB的にプレーするなど、高い戦術眼は色あせない。さらに平均走行距離ランキングではチーム1位の 11.2㎞をマーク中で、まだまだ若い。

試合中、点取り屋やドリブラーらの“主演”をつい目で追ってしまうが、タックルを繰り出しボールを奪える彼らがいるから、戦術や戦略が成り立つ。ゲームに奥深さを与える、いぶし銀のバイプレーヤーズをお見逃しなく。

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