調教師に連覇なし?藤沢和師ジンクス打破に挑む

[ 2018年5月23日 11:00 ]

日本ダービー七不思議(3)

藤沢和雄調教師
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 全休日明けの美浦トレセン。ゴーフォザサミットで昨年(レイデオロ)に続くダービー連覇を目指す藤沢和雄師が競馬週刊誌の写真を見ながら、古株の番記者と思い出話に花を咲かせている。目を細めたのは81年カツトップエースのダービー優勝記念写真。左端には誇らしげに当時29歳の藤沢調教助手が写っている。「菊池厩舎の助手時代はカツトップエース、野平祐厩舎に移ってからは(3冠馬)シンボリルドルフも身近にいたんだ。ダービーなんて調教師になればいつでも勝てると思っていたけど、大間違い。連覇?一つ勝つだけでも大変だ」

 調教師に連覇なし。ダービー七不思議の一つだ。ダービー歴代最多8勝を挙げた故・尾形藤吉師でさえダービー優勝の翌年は3回の2着が最高。「ダービーが近づくと、ピリピリしてくるので弟子は怖くて近づけない。藤吉先生はそのぐらいこだわりを持っていた。それでも連覇できないのがダービー」。8勝目となった77年ラッキールーラの騎手、伊藤正徳(現調教師)は振り返る。巨星も果たせぬ連覇はジンクスになった。

 藤沢和師にとってダービーはジレンマだった。「ダービーを勝つ馬は早い段階から鍛え込まれている。でも、基礎が固まっていない若い馬に無理をさせれば駄目になってしまう」。シンボリクリスエスやゼンノロブロイは青葉賞快勝後、ダービー2着。どちらも無理をさせなかったから古馬で大成した。ダービーの1勝より一生。「私だって勝ちたいが競走生活のゴールではない」。ジレンマの末、開業30年目の昨年、レイデオロで初制覇を果たした。

 ジレンマを乗り越えた名伯楽はゴーフォザサミットでジンクスも破るか。藤沢和語録の一部を紹介…。

 「おっとりして緩くて無理できない。オーナーに良くなるのは秋だと言っておいたが、ここに来て馬がひとりでに良くなってきた」

 「以前に青葉賞を勝った3頭(ペルーサ含む)に比べて反応は一番悪かったけど、ゴール前のフットワークは一番良かった。3頭とは違う強さ」

 「鞍上の執念に託したい。マサヨシは(ダービー初制覇を)いつやるか?今でしょ!ベテランジョッキー、頑張れ!!」。25回目の騎乗に悲願のタイトルを懸ける蛯名にもエールを送る。

 ミスターシービー、ウィナーズサークルでダービー2勝の松山康久元調教師は言う。「私の時代に連覇は無理だったが、ジンクスは破るためにある。藤沢君の馬なら破るかもしれない」。

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2018年5月23日のニュース