【菊花賞】国枝師の悲願!2頭出しで牡馬クラシック初制覇へ

[ 2018年10月19日 05:30 ]

笑顔の国枝師(撮影・村上 大輔)
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 秋華賞のアーモンドアイでG1・14勝目を挙げた国枝栄師(63)は2頭出しで悲願の牡馬クラシック初Vに挑む。

 木曜朝の美浦。国枝師はスタンドに居合わせた大竹師に「竹ちゃん、おめでとう」と握手を求めた。「お祝いされるのは(アーモンドアイの)国枝先生の方でしょう?」と、けげんな顔で右手を握り返す大竹師にジョーク一発。「いや、今週(菊花賞)の話だよ。竹ちゃんの馬(ブラストワンピース)強いからなあ」。大竹師と別れると「うちのもまんざらじゃないけど」といたずらっぽく笑った。

 2度の牝馬クラシック3冠を含めてG1通算14勝を挙げながら牡馬クラシックとは無縁。「なぜかな?」と首をひねるが、才能の芽が開くまで待ち続けるのが国枝流。「全体的に男馬は女馬より成長が遅い。3歳の段階で目いっぱいやるとリスクも多い」。そんな持論を展開しながらも、牡馬クラシックにはこだわりがある。「菊花賞は強い馬が勝つ…昔からそう言われたものだ」と、45年前の記憶の糸をたぐり寄せた。

 「先頭はハイセイコー。タケホープが追った、わずかにかわしたか」。日本短波放送(現ラジオNIKKEI)の実況中継に岐阜県立本巣高校3年の国枝少年は耳をそばだてていた。73年11月11日の菊花賞当日は大学受験の全国模試。東京農工大獣医学科を目指して午前中から答案用紙に向かっていても、菊花賞が気になって仕方ない。模試を終えると、急いで短波ラジオのスイッチをひねったのだった。「当時の牡馬クラシックに憧れてこの世界を目指したからね。高1の時のダービー馬はヒカルイマイ、高2の時がロングエース…」。昭和40年代の馬名と一緒に牡馬3冠への熱い思いがほとばしる。

 今年の菊花賞は初の2頭出し。3冠牝馬アパパネで成功した“栗東留学”を敢行した。「コズミックフォースは阪神に直前輸送したすみれSで体が減ったが、今度は心配のない気配。早めに栗東に入れて、うまくいった。オウケンムーンもしっかり動けていた」。今週の握手の主役は果たして…。「牡馬3冠と無縁なら菊花賞から行こう」

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2018年10月19日のニュース