鳥谷敬が語った夢までの道程
「高校卒業まで自宅で自主練はしなかった」

  • 田中亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

 10月20日、阪神での16年間のプレーを終えた鳥谷敬が、東京都・三鷹市で開催された「みたか夢フェスタ2019」に参加。「終わらない夢を。~夢をかなえた人、やぶれた人、変わった人~」と題したトークショーが行なわれ、会場には地元の子供たちを中心に、遠方から駆けつけたファンも含め、約150人が詰めかけた。

 そのトークショーには、選手の隠れた才能を見抜くプロのスカウトを描いた漫画『ドラフトキング』(グランドジャンプ/集英社にて連載中)の作者で、これまで多くの野球漫画を描いてきたクロマツテツロウが同席。違った形で野球に関わり、夢を叶えたふたりがさまざまな思いを語った。

トークショーに参加した鳥谷敬とクロマツテツロウトークショーに参加した鳥谷敬とクロマツテツロウ「やりたいことを見つけられると、何をすべきかがわかってきます。いろんなことをやっていく過程で『自分には向いていないな』と思うこともあるかもしれませんが、そう感じることで別のことに興味を持ち、新たな夢が見つかるかもしれない。そして目標に向かって一生懸命やっていることを、"努力"ではなく"日常"と思えるようになったら、夢の実現が近づいてくると思います」

 はじめに、夢を持つことの大切さについてそう語った鳥谷だが、自身が本格的にプロを目指したのは「大学に入ってから」と明かした。

小学3年生から野球を始め、聖望学園高校3年時には甲子園に出場。早稲田大学では、同期の青木宣親(ヤクルト)らと共にリーグ4連覇に貢献する活躍を見せ、阪神に入団後はベストナイン6回、2000本安打達成、日本歴代4位となる667試合連続フルイニング出場といった輝かしい成績を収めてきた。それでも、「高校を卒業するまでは自宅で自主練をしたことがなかった」という。

「それまではみんなで練習する時間が楽しくて、野球だけじゃなくて柔道やサッカーなど、いろんなスポーツをやっていたんです。でも、大学に入って『絶対にプロ野球選手になる』という明確な目標ができてからは、食事と眠っている時以外は野球のことだけを考えていたと言ってもいいくらいに没頭しました。どんなことでも、ひとつのことに打ち込める時間が長いほど、夢を叶える可能性は大きくなると思います。だから子供たちには、没頭できるほどの目標を早く見つけてもらいたいですね」

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