100周年の早大が防御と展開で明大撃破。
次なる目標は「荒ぶる」だ

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 谷本結利●写真 photo Tanimoto Yuuri

 節目となる創部100周年。その数字に見えない力はあるのか。OB、大学関係者を加えた早稲田大学ラグビー部のベクトルがひとつになる。伝統の早明戦で、宿敵明治大学を倒し、8年ぶりの関東大学対抗戦グループ優勝を果たした(*帝京大学と同時優勝)。

早稲田大学フルバックの河瀬諒介(中央)が試合開始後3分でトライを奪う早稲田大学フルバックの河瀬諒介(中央)が試合開始後3分でトライを奪う

 曇天の12月2日。2万2千余の人でぎっしり埋まった秩父宮ラグビー場のスタンドが大歓声で何度も揺れる。躍動したのは早大の1年生フルバック(FB)の河瀬諒介と3年生の大型センター(CTB)中野将伍、そしていぶし銀の最上級生プロップ(PR)鶴川達彦らだった。

 試合前のロッカー室で、早大の相良南海夫(なみお)監督は緊張していた河瀬にこう、声をかけたそうだ。「今日は、河瀬泰治(やすはる)の早明戦ではなく、河瀬諒介の早明戦にしろ」と。

 河瀬はこう、短く応えた。「わかりました」

 河瀬泰治さんは河瀬の父で、大阪工業大学付属(現常翔学園)高―明大―東芝府中(現東芝)と名門チームでプレーしたナンバー8で日本代表でも活躍した。筆者も早大時代、早明戦で直接対戦したことがある。"怪物河瀬"の破壊力は凄まじかった。

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