伊藤ハム、得意先サイト内や食品宅配サービスで精肉・食肉加工品を展開【拡大する食肉・食肉加工品のネット通販】

伊藤ハム「賛否両論」シリーズ
伊藤ハムとグループ会社の伊藤ハムフードソリューションはネット通販における取り組みとして、百貨店・流通企業、ギフト販売会社が開設している通販サイトで精肉、食肉加工品、調理品ギフトなどの商品を展開している。中元・歳暮のギフトシーズン以外にも母の日・父の日、敬老の日などのイベントにあわせて通年で展開できる商品をそろえている。

また、百貨店が行う食料品宅配サービスにも精肉や食肉加工品などの商品を供給している。コロナ禍で得意先企業のネットショッピングの利用者が増加しており、伊藤ハムフードソリューションの2020年4〜5月の得意先WEB業態関連の売上は前年の約1.5倍と大きく伸長した。

食肉・食肉加工品のネット通販の取り組みについて、家田宜威加工食品事業本部事業戦略統括部マーケティング部ギフト企画室室長と伊藤ハムフードソリューションの鳥居修東日本営業部販売7課課長に話を聞いた。

――現在のネット通販での取り組みについて

ネット通販の取り組みとして「ギフトシーズン(中元・歳暮)」「母の日・父の日やクリスマスなどの催事期」「百貨店などが手掛ける食料品宅配」といった販路に向けて、精肉や食肉加工品などの商品を提供している。ギフトシーズンや催事期では、百貨店や流通企業、ギフト販売会社などの得意先が開設している通販サイトを通して精肉、食肉加工品、調理品ギフトなどを販売している。

2020年は新型コロナの影響もあって、得意先が展開する通販サイトの利用が増加傾向にあった。中元商戦ではギフト売場を縮小せざるを得ない百貨店もあり、例年と比べてネット注文の利用率が高かった。また、コロナ禍で外出を控え、自宅で食事を摂る人が増えたことから自家需要ギフト、日常使いの精肉パック、半調理品のハンバーグなどが好調に推移した。今年もコロナ禍以前と比べて2ケタ近い売り上げの伸びを見込んでいる。

――現在の力を入れて取り組んでいることは

流通企業の通販サイトの展開ではトップページにバナー画像を掲載して、特設サイトで商品を紹介する取り組みを行っている。特設サイト内ではネットショップ向けの動画も視聴することができる。それらの取り組みで商品の認知を広げて購入につなげたいと考えている。このほか、流通企業ギフトカタログの誌面にQRコードを掲載してもらい、特設ページを手軽に閲覧できる試みも行っている。通販サイトは今後の需要増が見込めるほか、利用者に若い消費者が多く、新規顧客からの受注が見込めることから重要視している。

――この他の取り組みは

ギフト施策の中でネット強化に力を入れている。国内のギフト市場では、ポストインギフトや日常の贈り物といったカジュアルギフト、母の日・父の日や出産内祝いなどのライフイベントギフトの構成比が高く、それらのギフトはネット注文の構成比が非常に高い。2020年はカジュアルギフト市場に向けて、ポストインタイプのギフトを発売した。

ライフイベントギフトは市場が非常に大きく、その中でも出産内祝いギフトが人気を集めている。現在、そこに向けてギフト販売会社の通販サイトで出産内祝い用の名入れのハムギフトを展開している。出産内祝いのギフトは商品に名前を入れるため、これまでは展開が難しかったが、対応可能な仕組みを構築。2021年からハムギフトで取り組みを開始した。原料肉に国産豚肉を使った熟成規格のロースハムを展開しており、売上は順調に伸びている。今後も積極的に提案していきたい。

――コロナの影響について

明らかにネットを利用した注文にシフトしている。とくに2020年は、緊急事態宣言の発令などもあって外出や実家に帰省することができず、ネットを利用して母の日や父の日にプレゼントを贈る動きが多かった。

2021年もその傾向が強く、百貨店では母の日の需要がさらに伸びた。ギフトシーズンでもネットの構成比が大きく上昇した。また、料理人の笠原将弘氏が監修した和食総菜ギフト「賛否両論」シリーズやソムリエの田崎真也氏がお薦めする洋食ギフト「田崎真也セレクション」などのグルメギフトが、おいしさを評価されたこともあって伸長した。このほか、減塩のハム・ソーといった健康に配慮したギフトも伸びている。この傾向は今後も続くと考えており、総菜ギフトや健康に配慮したギフトには引き続き注力していく。