中央酪農会議、酪農の危機訴え説明会 生産の持続に適正な乳価への理解求める

記者説明会「いま、日本の酪農を考える~酪農の危機!揺らぐ牛乳の安定供給~」(中央酪農会議)
中央酪農会議は、日本酪農の現状や生乳の需給動向などについての記者説明会「いま、日本の酪農を考える~酪農の危機!揺らぐ牛乳の安定供給~」を11月16日都内で開催し、報道関係者62人に、酪農経営の実態、労働実態、安定供給に係る課題などを訴えた。

近年、牛乳乳製品の価値が見直され需要が増加する一方で、酪農現場は離農・廃業が特に都府県で進み、生産基盤の弱体化が進行しており、その理由の一つである、生き物の乳牛を扱う仕事に起因する労働環境の厳しさ、また牛乳の店頭価格の安さの実態、これに伴う乳価引き上げに理解してもらうのが目的。

同日は、迫田潔専務理事が、「説明会の内容をとりあげてもらい、生活者に日本酪農への正しい知識を広げてほしい」と主催者あいさつ。その後、内橋政敏事務局長が、「酪農全国基礎調査」からみる日本酪農の現状を話し、生乳を安定供給するために必要な視点として〈1〉生乳の需要増に対する生産増(乳牛の増頭)〈2〉生産基盤回復のためには、将来に向けた設備への投資等が出来る環境の創出が必要〈3〉雇用労働力の確保・省力化機械の導入等、酪農家の労働環境の改善が必要――の3点を強調した。

このほか北海道大学大学院農学研究院講師の清水池義治氏が、日本の生乳流通構造と牛乳の商品特性について、また千葉県・加茂牧場の加茂太郎氏が、「これからも酪農を続けていくために」をテーマに話し、安全安心な生乳を安定供給していくために、資材の高騰や人手不足に直面する酪農現場、生産の持続可能性という面からの適正な乳価、牛乳価格見直しへ理解を深めてほしいと思いを訴えた。

〈食品産業新聞 2018年11月22日付より〉