おとうふ工房いしかわ、おから使用のジェラートの素を開発、卵・乳不使用、「世界中の子どもたちに商品を届けたい」

おとうふ工房いしかわ、おからを使用のジェラートの素を開発、卵・乳不使用、「世界中の子どもたちに商品を届けたい」
おとうふ工房いしかわ、おからを使用のジェラートの素を開発、卵・乳不使用、「世界中の子どもたちに商品を届けたい」

おとうふ工房いしかわ(愛知県高浜市)は、国産大豆を100%使用した代替肉の「きらずミート」を2月から、卵・乳不使用のジェラートの素「おからペースト(ジェラート用)」を4月から販売開始した。いずれも業務用の商品。

「おからペースト(ジェラート用)」は、約20年前に卵不使用のマヨネーズを開発しようとした際の基礎研究で生まれたおからペーストが前身となっている。「2つを1つにするとイノベーションが起きる」という石川伸社長の考えのもと、アレルギーで食べられないものがある人が代替品を求めていたことと、業界全体でおからの有効活用が課題になっていたことの2つを組み合わせたという。

おからペーストがジェラートの素になったきっかけは、愛知文教女子短大、名古屋食糧、太田油脂と協働で、アレルゲンを除去した食品の開発を研究する際に、アイスクリームを作る話が持ち上がり、同社がおからペーストを提案したことだ。食品メーカー2社の提案で米粉と油を添加し「おからペースト(ジェラート用)」が生まれた。

卵不使用のマヨネーズを開発していた当時は、アレルギーへの理解が進んでいなかったこともあり、商品化は叶わなかった。しかし、現在はアレルギーを持つ人だけでなく、ベジタリアンなどにも評価されるようになったと話す。

開発で苦労したのはおいしさの追求だった。ジェラートは嗜好品のため、まずいと食べてもらえないからだ。さらに、子どもに食べさせるのを想定し、愛知文教女子短大の要望で砂糖の使用量を減らすようにした。石川社長は、「人間の舌は温度が低いと甘さを感じにくくなるので、いかに砂糖を減らすかがテーマだった」と振り返る。

「ジェラートの素は常温品のため、日本のみならず、世界中の卵や牛乳のアレルギーでアイスクリームが食べられない子どもたちに商品を届けていきたい。今回、新しくジェラート工場を作った。まずは商品の普及や啓発活動を頑張っていきたい。また、今はおからペーストで作っているが、食品残渣(ざんさ)に野菜や果物を足した健康的なジェラートを作れたらと考えている」と今後の展望を語る。

〈大豆の風味を残したおから入り大豆ミート、グラノーラや製菓の原料などにも〉

「きらずミート」は、日本の農業を応援したいという思いから生まれた商品だ。「きらず」とはおからのこと。産業廃棄物として廃棄されることが多いおからの消費拡大に貢献するため、新しい使い道を模索した結果、おからパウダーを配合した大豆ミートにたどり着いた。従来の大豆ミートより食感が軽いのが特徴で、一般的な大豆ミートと比較して、口内でなじみ食べやすいという。

また製法も、ヘキサンと呼ばれる有機溶剤を用いてしぼるのではなく、圧搾した脱脂大豆を使用しているため、より大豆の風味が残っている。同社によると、「きな粉や煎り豆の匂いが嫌いな人はあまりいない。有機溶剤でしぼると、えぐみなど嫌な匂いが強調されやすくなってしまう。嫌厭(けんえん)されがちな匂いではなく、良い大豆の匂いがするように仕上げた」という。

さらに、おからを配合したことで、大豆の嫌な匂いを隠し、好まれる匂いに近づけることができた。

おからを入れたことで、「きらずミート」のたん白質含有量が少なくなる上、おからに含まれる食物繊維や、圧搾した大豆に残った油により成形しにくいという課題があったが、おからの量や設備の稼働条件を調整することでクリアした。

おとうふ工房いしかわでは、「きらずミート」を代替肉ではなく、普段の生活の中で食べられる食材として打ち出していく。具体的には、グラノーラや製菓の原料など新しい使い道を提案するほか、自社でも「きらずミート」を使った商品を展開していく。

〈大豆油糧日報2023年6月1日付〉

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昭和33年(1958年)1月
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