小さな子が「いつもマスク、人と会わない」ままで大丈夫? 長引くコロナの影響、大人ができることは

林朋実

乳幼児教育の専門家・大豆生田啓友さんに聞く

 マスクの着用、外出を控えて家族以外の人となるべく接触しないようにする―。新型コロナの感染予防で求められるこうした環境で育つ乳幼児の育ちを心配する保護者は多いと思います。子どもとかかわる大人に何ができるのか。乳幼児教育学の専門家である玉川大の大豆生田啓友(おおまめうだ・ひろとも)教授(55)に聞きました。

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乳幼児教育が専門の玉川大・大豆生田啓友教授

密室状態の子育ては無理…「外」が必要

―ワクチンは医療者や高齢者への接種が始まったばかり。マスクを着け他人との接触を控える状況はまだ続きそうです。子どもの健全な発達と感染予防の折り合いをどう付ければいいのか悩みます。

 乳幼児は表情でのコミュニケーションやスキンシップがとても重要です。でも、感染予防との兼ね合いとなると、何とも言えない。新型コロナの危険性をどう捉えるべきなのか、誰も正確には分かっていないのです。家庭も保育施設も、感染リスクをどのくらい深刻に考えるかで対応が二極化していると感じます。

 一つ言えるのは、ずっと密室状態で子育てするのは無理だということ。歴史的にも、小さい子はほとんど外にいて、親がずっと家の中で見ているなんてあり得なかった。「外」を活用することが必要だと思います。

日常の遊びを充実させるこんなアイデア

―地域のお祭りや園の遠足など多くのイベントが中止となり、家族での遠出も難しい情勢です。どのように「外」を活用すればいいでしょうか。

 大人は、レジャーランドなどの特別な経験をさせなければと考えがちですが、実は子どもが育つ上では、日常の遊びを充実させることこそが大事なのです。イベントができないのを逆手にとって、身近な楽しみを見いだす機会にしませんか。

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身近な自然と触れ合うのも楽しい時間

―いいですね。具体的なヒントがいただけたら。

 例えばおにぎりを作って散歩に行ったり、近くの水辺でザリガニを探したりするのは楽しいですよ。外を歩くだけでも、子どもはいろいろな発見をして遊びます。ポリ袋を持って行けば、落ち葉などを拾って楽しめます。どこの自治体でも、自然に触れて体を動かせるような場を近隣につくっているものです。家の中なら一緒に料理したり、空き箱をいっぱい置いて工作コーナーを作ったりするのもいいですね。コロナ禍の前のことですが、こうしたアイデアをいろいろ紹介する『非認知能力を育てるあそびのレシピ』(講談社)も出版しました。

「保育の質」に投資する必要性が表面化

―遠方の祖父母などとも会えず、同居家族や、保育園、幼稚園の先生以外とのコミュニケーションの機会が減っているのも残念に思えます。

 今は家族やクラス、ご近所などの小さな規模のコミュニティーを大事にする時期だと考えてみてはどうでしょうか。コロナ禍で多くの人はまず、「これまで家族は向き合ってきたのか」ということに直面したと思います。今までは過剰にグローバル化が叫ばれ、多くの人と会うことこそがいいことだと強調されていた面もあると思います。目の前の人と良い関係を築くことを軽視してきたのかもしれません。もちろん、リモートでつながるなどつながる工夫も模索するのがいいと思います。子どもたちにとっても、会える、ということがいかに大事か気付く面もあるでしょう。

―コロナ禍で保育施設の負担も増えました。保育者が強いストレスを感じながら子どもと向き合わざるを得ない状況が親としても心配です。

 根本的に、日本社会は保育の質への理解が少ない。長時間保育や、1人の保育士が対応する子どもの数の多さなどで、コロナ以前から現場に過剰な負担がかかっていました。そこに感染対策が加わったのです。こども環境学会のアンケートでも、厳格な感染対策をとる園ほど保育者のストレスが大きい傾向が見えました。保育施設は単に子どもを預かるのではなく、育てる場。問題を抱える家庭を支援する役割も担っています。こうした場に投資する必要性が、コロナで改めて浮かび上がったと言えるでしょう。

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