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冬の秘湯は最高のパワースポット(10)スノーモンキーに会いに湯田中温泉郷へ<長野県>

Posted by: 阿部 真人
掲載日: Jan 8th, 2021.

雪の季節がやってきました。この冬は積雪が多くなりそうですね。雪の秘湯といえば、温泉で温まるニホンザルとして世界的にも知られる長野県地獄谷のスノーモンキー。彼らに会いに出かけました。そして宿は歴史のある名湯、湯田中・渋温泉郷。凍えきった体を温めてくれる旅をご紹介します。

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スノーモンキーと観光客


善光寺から湯田中温泉郷に向かいます

善光寺参道

旅はまず善光寺から始めました。長野県を代表する観光名所です。参道の仲見世通りを散策するのも楽しいもの。ちなみにこの通りの石畳は7,777枚あるといわれ、江戸時代から参拝に訪れる人々の足元を支え続けてきたのだそうです。日光東照宮や伊勢参りと同じように“一生に一度は善光寺参り”というのが庶民の願いだったようです。しかも今年はちょうど丑年。「牛に引かれて善光寺参り」といいますが、その意味は思いがけないことが縁で偶然いい方向に導かれることだそうで、今年は良い年でありますように。

善光寺

創建されて1400年。善光寺は無宗教のお寺で誰もが気兼ねなく参拝でき、これまで年間600万もの人々が訪れてきたそうです。本堂は国宝に指定。また御本尊の一光三尊阿弥陀如来は、インドから朝鮮半島百済へ渡り、欽明天皇13年(552年)、仏教が伝来したときに百済から日本へ伝えられた、日本最古の仏像といわれています。

特急スノーモンキー

参拝を終え、もちろん信州名物の蕎麦も食べて、長野電鉄で湯田中温泉に向かいます。長野電鉄長野駅のホームは地下にあるんですね。まるで地下鉄に乗車する気分。上の写真の列車名は特急「スノーモンキー」というのだそうです。湯田中駅までは43分ほど。

車窓の雪景色

長野市内の積雪はそれほどありませんが、車窓からの景色は少しずつ雪が増えていくようです。ちなみに湯田中・渋温泉郷は周辺の10ほどの温泉地の総称で、湯田中温泉は1350年もの歴史があるといわれる古い温泉地なのです。

湯田中駅前

あっという間に標高600mの湯田中駅に到着。雪は多少ありますが、それほどの積雪ではありません。それよりも信州は冷え込みが厳しいのです。周辺には湯田中温泉や渋温泉などの古くからの名湯が点在し、温泉目当ての観光客が降り立ちます。

旅館に到着

3キロほどタクシーで走り、今夜は湯田中・渋温泉郷のひとつ、角間(かくま)温泉の越後屋旅館にお邪魔します。角間温泉は昔から湯治客の宿が多く、古い温泉街がいまも残っているんです。

明治を感じさせる角間温泉・越後屋旅館

この角間温泉、室町時代に蓮如上人が発見したといわれています。作家の吉川英治や林芙美子、日本画家の横山大観など数多くの文人も訪れ、滞在しています。

越後屋旅館

越後屋旅館さんは江戸中期に創業、現在の建物は明治初期(1870年)に建てられたという木造三階建で、写真のように1階部分よりも2階3階のほうが迫り出している「出梁造り(だしばりづくり)」という珍しい構造なのです。

玄関

旅館の内部はレトロな世界に迷い込んだ印象です。階段や床が黒光りしていますが、手入れが行き届き、ホコリは見当たりません。作家・吉川英治は小説執筆のためこの越後屋さんに1年以上も逗留したといいます。

2階廊下

明治の建物なので修繕しようにも手を付けられないと女将さんはこぼしていましたが、レトロな温泉が好きな方には堪えられない宿。個人的にもこういう宿は大好きなのです。老夫婦おふたりで切り盛りしている様子でした。

ローマ風呂

そして温泉です。角間温泉の泉質はナトリウム塩化物硫酸泉。越後屋さんには3つのお風呂がありました。まずはローマ風呂に入浴。ひとりか2人で入浴するような、こぢんまりした浴室です。さらさらして上品という印象のお湯です。アトピーに効くといわれ、とにかく温まるお湯でお風呂上がりはポカポカします。

ローマ風呂②

そして真ん中の少し大きめのローマ風呂。家族風呂でしょうか、2〜3人はゆったりと入れます。先ほどのローマ風呂はカエルのオブジェからお湯が出ていましたが、こちらは女神のオブジェがありました。

桧風呂

そしてヒノキのお風呂。ヒノキの木の感触が心地よいのです。この日は貸し切り状態で、風呂場を転戦しました。いやあ、いい気分です。

共同浴場

この角間温泉は越後屋旅館を含めて3〜4軒ほどの温泉宿と、通りに大湯と呼ばれる共同浴場があります。共同浴場へは、宿泊客は宿から鍵を借りて入浴することができます。ここにもお邪魔しましたが、ちょうど地元の子どもたちが入浴していました。信州の子ながら中日ドラゴンズの熱狂的なファンだといい、詳しく教えてもらいました。

夕食

夕食は地元の食材を使った、心のこもった家庭料理です。信州ならではのお蕎麦もあります。

信州牛鍋

〆は信州牛の陶板焼き。これで料金は1泊2食1名1万円もしないんですから感動です。これからも頑張っていただいて、ずっと残ってほしい温泉宿のひとつです。

角間温泉 越後屋旅館
住所:長野県下高井郡山ノ内町佐野2346
電話:0269-33-3188

地獄谷にスノーモンキーに会いに行く

バスに乗車

翌朝は宿のご主人にわざわざ車で湯田中駅まで送って頂きました。ありがとうございました。今朝は地獄谷に向かいます。スノーモンキーに会いに行くのです。が、コロナ禍の前だったので、とにかく外国人が多いのです。欧米からの白人の方が多いようですが、中国の方も多いですね。そんななか日本人はわずかなのです。

雪中行軍

15分ほどバスに揺られ終点の上林温泉で下車します。ちなみに、上林温泉も湯田中・渋温泉郷のひとつ。その後雪道をぞろぞろと歩いて30分ほどで地獄谷野猿公苑に到着。山あいの雪道をおおぜいの外国人たちがこぞって歩く光景は不思議でしょうね。そして公苑に着いても苑内の山道を歩かなくてはなりません。ちなみに入場料は大人500円です。

公苑ロング

下の河原を見下ろせるところまで来ました。すると雪のなかにカメラを持った観光客が佇んでいます。遠くを見ると白い雪のところどころに黒い粒のようにニホンザルがいるではありませんか。

人だかりへ

さらに奥に進むとこれまで写真で見たことのあるニホンザルが入浴する露天風呂です。そしてその前にはカメラを持った観光客がおおぜい群がっています。ほとんどが欧米の方々。アジア系は中国人でしょうか。時々日本人らしき中年のおじさんカメラマンがいます。

温泉サルを見る観光客

海外ではスノーモンキーとして知られる地獄谷のニホンザル。たしかに温泉に入って温かそうなニホンザルは、ほっとする光景で愉快な気分になるんですが、世界中の人々にこんなに注目されるのも不思議な気分です。大きな歓声を上げる外国人たちを見ているのも面白かったですよ。

温泉に入るサル

ちなみにこのスノーモンキー、昭和37年(1962年)に野猿の餌付けに成功して野猿公苑として整備したといいます。そして昭和45年(1970年)にアメリカの雑誌「LIFE」の表紙を飾り、世界的に注目されるようになっていったそうです。現在は200頭ほどが姿を見せるそうで、世界でただひとつ湯浴みをする愛らしい野性のニホンザルを間近で見ることができるのです。

地獄谷野猿公苑
住所:長野県下高井郡山ノ内町平穏6845
電話:0269-33-4379
営業時間:夏 8:30~17:00、冬 9:00~16:00(年中無休)
HP:https://jigokudani-yaenkoen.co.jp/

2日目は安代温泉・山崎屋旅館でくつろぐ

山﨑屋旅館

スノーモンキーの入浴を見た後に向かったのは、渋温泉に隣接する安代(あんだい)温泉の山崎屋旅館。こじんまりしていて、とても清潔感のある宿です。場所は渋温泉に隣接していますが、宿のご主人によると、もともとは別の場所にあったそうで、後の時代にこの地に移り、安代温泉という名前を受け継いでいると仰っていました。

浴室

浴室は4〜5人が入れるくらいでしょうか。泉質はナトリウム塩化物硫酸塩泉で角間温泉と同じですが、こちらのお湯はトロッとしている印象です。泉質が同じでも、ひとつひとつお湯の感触は異なります。それが温泉の醍醐味のひとつなんでしょうね。

共同浴場

安代温泉にも共同浴場がありました。もちろんここにも入浴。部屋の窓からも共同浴場が見下ろせます。窓の外には大きなつららが垂れ下がるほどの冷え込みですが、お風呂に入って部屋も暖かくぬくぬくしていられます。

夕食
蕎麦

夕食は料亭のような盛り付け。地元の素材を使った上品な味わいで、特に宿の御主人手打ちの蕎麦は絶品でした。ごちそうさまでした。

ひなたぼっこサル

翌朝は晴天で、朝日が差し込んでいました。窓を開けると目の前の家の屋根に、なんと野生のニホンザルがノンキに日向ぼっこをしているではありませんか。地元の方はサルが玄関や台所まで入り込んで悪さをするために嘆いていましたが、外国からの観光客はニホンザルの自然な姿に歓声を上げるかもしれませんね。

安代温泉 山崎屋旅館
住所:長野県下高井郡山ノ内町大字平穏2299
電話:0269-33-3025
HP:http://www.yamazakiya.com/

[All Photos by Masato Abe]

阿部 真人

Masato Abe 還暦特派員
大学を卒業後、およそ30年間テレビ番組を作ってきました。57歳の時に、主夫となり、かつ自由人として旅に生きることを決意して早期定年退職。登山を始め、東京の街歩きガイドや温泉めぐり、豆大福探訪などなど60歳の還暦を迎えて好奇心が高まっています。


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