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海外サッカー

「一番の鍵は日本戦であった」――クロアチア代表指揮官が明かした森保ジャパン攻略の苦悩。8強を懸けた激闘の舞台裏【現地発】

THE DIGEST編集部

2023.02.01

日本の卓越した守備戦術を前に、チームの肝であるモドリッチを封じ込まれたクロアチア。なぜ彼らは機能不全に陥ったのか。(C)Getty Images

日本の卓越した守備戦術を前に、チームの肝であるモドリッチを封じ込まれたクロアチア。なぜ彼らは機能不全に陥ったのか。(C)Getty Images

 アルゼンチンが36年ぶりの戴冠を果たして幕切れとなったカタール・ワールドカップ(W杯)終了後、世界でも指折りの権威を誇るイタリアのスポーツ紙『La Gazzetta dello Sport』は、大会期間中の各国のパフォーマンスに独自の採点を付けた。

 もちろん1位はアルゼンチン(9点)。2位にフランス(8.5点)、3位にクロアチアとモロッコ(8点)、そして5位は日本(7点)だった。こうした他者からの高評価に加え、グループステージでドイツとスペインを破った事実は、今の日本がどれだけ高いレベルにあるかを物語っていると言えよう。

 そんな日本との試合はクロアチアにとって大きな試練となった。カタールで戦った7試合で、“ヴァドレニ(クロアチア代表の愛称。炎の意)”が最も困難に陥ったのがこの試合だったと感じている。

 クロアチアは、アルゼンチンとフランスが決勝を行っている、まさにその時間にドーハから首都ザグレブに戻ってきた。街の中心にある広場には代表戦士たちを迎える大勢の人々でごった返していた。

 2大会連続のベスト4入りと、3位入賞の喜びに国民が歓喜するなかで、チームを率いたズラトコ・ダリッチ監督は、こう発言した。
 
「優勝候補の最右翼だったブラジルを破った試合、モロッコと戦って3位を勝ち取った試合は、いずれも我々にとって最も重要な戦いであったかもしれない。しかし、今大会の一番の鍵は日本戦であったと私は思う」

 日本がグループステージ初戦でドイツを破ったのはセンセーションな出来事として受け止められたが、スペインにも勝利したとなると、これはもうまぐれではない。この時にダリッチはじめとする代表の関係者たちは、誰もがラウンド・オブ16を突破する難しさを覚悟した。なにしろ、かろうじて2位でグループリーグを突破したクロアチア(カナダに1勝、モロッコとベルギーに2引き分け)よりも、首位通過を果たした日本が成績では上回っていたからだ。

 ただ、クロアチア国民はそう思ってはいなかった。日本が優れたチームだとはわかっていたが、それでも対戦相手として決定した際には「ジャックポット(大当たり)だ!」と喜ぶ声が聞かれた。もしも、相手がドイツやスペインであったなら、たとえ準々決勝に勝ち進まなくてもクロアチアに人は敗北に納得したかもしれない。だが、日本に負けたとあっては大騒ぎになる。国内メディアにも、どこか楽観的な空気が流れていた。

 だからこそ、ダリッチは頭を抱えた。

「日本が首位通過をした瞬間に、クロアチアは難しい状況に陥った」
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