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19年世界一の英雄ストラスバーグが「すべての身体活動停止」へ...このまま「史上最悪の不良債権契約」となってしまうのか<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.06.05

リハビリしなければ投げられないのに、多少の運動すらできない。ストラスバーグの復活はますます遠ざかる。(C)Getty Images

リハビリしなければ投げられないのに、多少の運動すらできない。ストラスバーグの復活はますます遠ざかる。(C)Getty Images

 エースの復活がさらに遠のき、ナショナルズの心痛はいかばかりか。胸郭出口症候群からの復帰を目指しているスティーブン・ストラスバーグのリハビリが重度の神経損傷によりストップし、ストラスバーグは現在「すべての身体活動を停止中」だという。ストラスバーグは昨年6月9日以降登板がないままで、あれから一年が経過しても復帰の見通しは立ちそうにない。

 2009年ドラフト全体1位指名で入団したストラスバーグは「ドラフト史上最大の大物」と呼ばれるほどの金の卵だった。メジャーデビュー直後にトミー・ジョン手術を受けるなどの困難もあったが、期待通りエースへと成長。ナショナルズが球団史上初の世界一をつかんだ2019年には、まさに英雄になった。

 最速100マイルの剛速球に大きなカーブ、ブレーキの利いたチェンジアップを武器に、レギュラーシーズンではリーグ最多の18勝、同2位の251奪三振を記録すると、ポストシーズンでは史上最多タイとなる5勝。特にワールドシリーズでは、第6戦での9回途中2失点を含めて2戦2勝の活躍でMVPにも選ばれている。その年のオフにFAとなり、7年2億4500万ドルでナショナルズと再契約。その後もエースとしてチームを牽引するはずだった。

 だが、この大型契約を境にストラスバーグのキャリアは暗転してしまう。20年は先発予定だった開幕2戦目を神経の問題で登板回避すると、そのまま右手の神経炎で離脱。8月に復帰して2試合に登板するも、計5イニングに投げただけで再びIL入りし、そのまま右手の手術のためシーズン終了となった。
 
 翌21年も2試合に先発した後、右肩の炎症で離脱。5月に戦線復帰するも3試合投げただけで、今度は首の張りでIL入りしたと思ったら、7月末に胸郭出口症候群の手術を受けると発表され、やはりシーズンを終えている。22年シーズンも、6月に1試合投げただけでその後はずっとILでシーズンを過ごした。

 今季も胸郭出口症候群のリハビリで出遅れ、2月の時点で「復帰は未定」とされていたストラスバーグだが、4月に始めたリハビリも、上述したように重度の神経損傷によりすぐさまストップがかかった。状態はかなり深刻で、地元紙『ワシントン・ポスト』のジェシー・ドハティ記者は、「今後二度とメジャーで投げられないかもしれない」と危惧している。

 20年以降は計8登板で防御率6.89という成績しか残せていないストラスバーグだが、超大型化契約は26年まで残っており、再建中のチームの財政を圧迫している。「史上最悪の不良債権契約」との呼び声もある中で、このままキャリアに終止符が打たれるのは、あまりにも寂しいと言わざるを得ない。

構成●SLUGGER編集部
 
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