西武は5日の日本ハム戦(エスコン)で延長12回の末、2―3とサヨナラ負け。開幕3カード目で初めてカード初戦を落とした。

 6番手でマウンドに上がった4年目・豆田泰志投手(21)が無死満塁のピンチを背負い、万波を渾身の148キロ速球で浅いレフトフライに打ち取り、俊足の代走・五十幡は三塁ベースにクギ付けとなった。

 しかし、ここまで5打数無安打と好機で凡退を重ねていた続く4番・マルティネスに深々と中犠飛を打ち上げられ、万事休す。7回2失点の今井の後を受け、8回から甲斐野―アブレイユ―本田―佐藤隼とつないだ無失点リレーは最終イニングの12回で途絶えた。

 この場面、チーム内では平良と同じ「ストレートは高めに投げる」を信条とする豆田の〝こだわり〟が招いた決勝犠飛だったともいえる。

「自分の場合、真っすぐはデータ的にも縦のホップ成分が強いので高めを狙います。低めに狙っても球が弱くなってしまう。今年はより高さの基準を上げている」

 キャンプ時からこう〝高めへの意識〟を語っていた豆田は万波に対しては、そのストレートの威力でバットを押し込み、打者との勝負に勝っていた。しかし続くマルティネスへのストレートはやや高さが甘く、外国人のパワーで深々とセンター後方のフェンス際まで運ばれてしまった。

 かねてチーム内には場面に関係なく高めのストレート勝負にこだわる〝高め至上主義〟に対し、賛否両論ある。実際にチーム関係者の1人も「打者がそこを狙っていても、それを上回る真っすぐが投げられたらそれでいい」と前置きしながら「ただ、状況を無視した高め勝負はどうなんだろう。その1点でチームの勝敗が決してしまったら、もったいないじゃないですか」との懐疑論を投げかけている。

 まさに1点もやれないこの場面はバックホーム、あわよくば本塁併殺を狙う内野手が前進守備を敷いていた場面だった。そこにゴロが転がる確率の低い、高めストレートを連投しての救援失敗…。この〝教訓〟を機にチーム内で何らかのすり合わせが行われるかもしれない。