辛抱の時を迎えている。ソフトバンクは9日の日本ハム戦(熊本)に2―4で競り負け、今季初の連敗。チャンスで頼みの中軸に一本が出なかった。

 2点を追う5回は無死満塁の絶好機をつくりながら、主砲・山川穂高内野手(32)が痛恨の三ゴロ併殺に倒れ、続く近藤も左飛に打ち取られて最悪の無得点に終わった。7回も一死二、三塁のチャンスで柳田、山川が連続三振を喫して勝機を手放した。

 これで山川は3戦連続で4打数無安打となり打率1割5分8厘、得点圏打率も1割3分3厘に。試合後には「全部(4打席とも得点圏の)チャンスで回ってきて、僕が1本、2本打てていたらっていうのはもちろん感じています」と敗戦の責任を背負い込んだ。試合の明暗を分ける4番の働き。開幕戦こそ決勝弾を放ったものの、そこからは低空飛行が続いている。

 ただでさえ、重責と重圧が襲いかかるFA移籍1年目。打てない批判は期待の裏返しでもある。チーム内にはこんな声がある。「打ちたい、打ちたいという気持ちが伝わってくる。でも、それをこらえるのは超一流と言われる選手だって難しい。打ちたい気持ちが空回りする時は必ずある」(古株の関係者)。その時々の境遇や成績、戦況などが負の連鎖を加速させることはある。心技体、紙一重の領域で苦しんでいる。

 小久保監督はブレーキとなった山川に「4番はどうしてもそうなる。もう、自分で切り抜けるしかない」と短い言葉に熱いメッセージを託した。優勝を狙うチームの4番は特別だ。打てなくても擁護の声があるのは、首脳陣だけでなく仲間の信頼もあってこそ。ここでジタバタするわけにはいかない。