巨人は13日の広島戦(東京ドーム)で先発・山口俊(32)が8回途中1失点、10奪三振の好投でリーグ単独トップの14勝目をマーク。5―1で快勝し、優勝マジックを6とした。いよいよ5年ぶりの美酒が目前に迫ってきたが、球団内からはさまざまな要因から「何とか19日までに」との“お願い”が。その理由とは――。

 まさに力投だった。キレのあるフォークを武器に三振の山を築いた山口は球数が111球となった8回二死で中川にバトンタッチ。自己最多を更新する14勝目を挙げ、勝ち星、奪三振(175)でDeNA・今永を抜き、勝率(7割7分8厘)も含めた“投手3冠”に立った。

 頼れる右腕は「今日は最初から長いイニングを投げるつもりだった」と笑顔で、原監督も「ボールそのものは非常に良かったですね」とたたえた。14日の同戦はローテの谷間でリリーフの澤村が先発予定。救援陣による継投で乗り切る方針とあって、指揮官は「リリーフ陣にとっても良かったと思いますね。今日は一人のブルペン陣だけで済みましたので」と山口に最敬礼だった。

 14日の時点で最短Vは16日の阪神戦(東京ドーム)。マジック対象チームのDeNA次第で18、19日の中日戦(ナゴヤドーム)や20、21日のDeNA戦(横浜)にズレ込む可能性も十分ある。そんななか、G球団内からは「横浜での胴上げはできれば避けたい。何とか19日の中日戦までに決めてほしい」との希望が飛び出している。

 理由はこうだ。20、21日のDeNA戦で優勝を決めた場合は、祝勝会会場として予定していた横浜市内の宿泊施設が改装中のため使用できず、東京都内まで戻る必要があるという。ビールかけの開始予定時刻もナイター終了から約2時間後に設定されており、日付をまたいでスタートとなる公算が大きくなる。

 巨人主催試合を放映する日本テレビにとっても20日の優勝決定は何かと都合が悪い。同日からは同局が放映権を持つ一大イベント「ラグビーW杯2019」が開幕するからだ。同日の放送予定は午後6時25分からの開会式を皮切りに、日本―ロシアの開幕戦を生放送。その後も同9時45分からは「金曜ロードSHOW!」でラグビー映画「インビクタス/負けざる者たち」が放映され、まさに総力を挙げて“ラグビー一色”に染めるのだ。

 スポーツニュースも同様で、巨人の5年ぶりとなる優勝会見やビールかけがかすんでしまう可能性もある。翌21日夜も同局ではニュージーランド代表「オールブラックス」と南アフリカとの試合を生中継する。日テレ時代、ラグビーW杯の放映権獲得に尽力した現巨人の今村代表取締役社長兼編成本部長は「胴上げがW杯と同じ日になったとしても、スポーツ界が盛り上がってくれればそれでいい」と「Xデー」にこだわりはないというが…。

 現場にとっては一日も早く優勝を決め、ポストシーズンに向けた備えに入りたいのが本音。目の前の試合に全力を尽くすまでだが、周囲はその瞬間をめぐってヤキモキしている。