G史上最強捕手がひとまずの集大成を見せつける。今季限りで引退する巨人・阿部慎之助捕手(40)が、レギュラーシーズンの本拠地最終戦となる27日のDeNA戦(東京ドーム)で捕手復帰を果たす。現役最後の戦いはCS、日本シリーズへと続くが、周囲からは早くも阿部が来季つける背番号にも注目が集まり始めている。

 阿部は26日、ジャイアンツ球場で行われた全体練習の前にファームへのあいさつに訪れ、円陣の輪のなかで「若い選手もいるし、これから壮大な夢を持って野球をできることを誇りに思って今後やってください」などとメッセージを送った。

 一軍練習では慣れ親しんだ捕手ミットを使い軽めのキャッチボールなどを行って調整。27日は優勝セレモニーとともに「ありがとう 慎之助」と銘打たれ、阿部は長年苦楽をともにしてきたマシソンと先発バッテリーを組む予定。一軍でマスクをかぶるのは実に4年ぶりで「キャッチャーはやっぱり無理だなと見せてやるよ」と“らしい”セリフを吐きながら闘志を高ぶらせた。

 阿部の現役生活はチームがどこまで勝ち進めるかにかかっている。ナインは日本一奪回を最高の花道とし、阿部と「一日でも長く一緒にプレーを」と結束を強めるが、いつかは終わりが来る。そして来季からは、ポストは未定ながら指導者として後進育成に尽力することが確実視されている。そこで早くも話題に上っているのが、阿部の背番号だ。

 コーチになれば、70、80番台をつけることが“定番”ではあるが、功労者の阿部の場合はどうなるのか…。

 チームスタッフの一人は「ルーキーの時から10番をつけているけど、もしかしたら現役生活にケジメをつけるために、あえて返上するかもしれないね。でも、慎之助が『10』以外をつけている姿は想像もつかない」という。

 選手からも「そもそも、まだ阿部さんが引退するんだということは頭では分かっていても、まだ実感が湧かないです」と言葉を詰まらせつつ「阿部さんといえば『10』しか考えられませんよ。80何番になっても全然ピンとこない。『ABE 80』とかおかしいでしょうね…」と背番号10からの変更には一斉に「NO!」の声を上げている。

 近年の日本球界では現役時代の背番号をそのままつけることが“トレンド”の一つでもある。巨人では高橋前監督が「24」、阪神の金本前監督も「6」、DeNAの三浦投手コーチも「18」のままだ。

 巨人では原監督が3度目の就任を果たした際に背番号を大シャッフル。高橋前監督の背番号24も新助っ人クックに禅譲される形となった。変化が激しいだけに周囲は気をもんでいるが、現場の願いは引退しても「背番号10」だ。