パ・リーグのCSファーストステージ第2戦は6日、ヤフオクドームで行われ、王手をかけられていたソフトバンクが6―4で楽天に逆転勝ち。対戦成績を1勝1敗とした。第3戦は引き分け以上でソフトバンクのCSファイナルステージ進出が決まる。窮地の鷹を犬鷲から救ったのはスーパーサブの福田秀平外野手(30)。今季中に国内FA権を取得した伏兵が決勝弾を含む2本の長打でチーム内外に存在感をアピールした。

 本拠地で先に王手をかけられた工藤監督は「負けたら終わりなので悔いのないように」と賭けに出た。相手先発は今季1勝3敗で対戦防御率1・97と苦手の美馬。負けられない一戦で、レギュラーシーズン全143試合に三塁でスタメン出場した松田宣を外し、初戦で左翼を守ったグラシアルを今季は一度も守っていない三塁で起用した。松田宣が美馬に今季は18打数2安打と相性が悪かったこともあるが、チーム内に動揺を招きかねない手まで打ったのは、切り札として福田をスタメン起用するためだった。

 福田にも期するものがあったのだろう。見事、起用に応えて4回に放った決勝弾を含む2本の長打で勝利に貢献。「今年一番の当たりでした」と会心の笑みを浮かべた。

 福田は今季中に国内FA権を取得。交流戦では17試合で6本塁打と大暴れして存在感をアピールした。それでもチーム内での立ち位置はスーパーサブ。故障していた主力組の復帰により、V争い佳境の9月以降のスタメン出場は消化試合での1度だけだった。チーム関係者もこの日の大暴れには「FAは選手の権利。プロである以上、力の出しどころですから。ここで燃えないわけがない」と“当たり前”と言わんばかりだった。

 現状でも今オフのFA市場のダークホースとして人気となることが確実視されている。今後の活躍次第でさらなる評価高騰もありそうだ。視察に来ていたセ・リーグのスコアラー陣も「ほかのチームならレギュラー。走攻守揃っていて年俸(3700万円)も安い。そりゃあ人気になるでしょう」と言う。

 球団側も黙ってない。この日は1年でも数少ない孫オーナーの“御前試合”でもあった。後藤球団社長は「うちにとって必要な選手。今日もちゃんとアピールをしてくれた。交流戦の印象もね。(交流戦のV決定戦で巨人・菅野から放った本塁打など)球界に焼き付くプレーをしたから」と大絶賛。過去の例を見ても年俸1億円近い破格の複数年契約で引き留めを図ることになりそうだ。

 残留するにせよ移籍するにせよ、爪痕を残す大暴れをすれば価値は上がる。第3戦もスタメン出場予定の福田が鷹のキーマンとなりそうだ。