西武が2014年オフの小谷野栄一内野手(当時日本ハムからFA=現オリックス二軍打撃コーチ)以来、5年ぶりとなるFA補強戦線参戦に乗り出す。

 今季の西武は1998年以来のリーグ連覇を果たしながらCSファイナルステージでは昨年に続き、公式戦2位のソフトバンクに下剋上を許す屈辱的な終戦。同じ相手に短期決戦では2年合計1勝8敗と完膚なきまでに叩きのめされた。辻監督も「非常に残念。選手層の薄さを痛感させられた」と143試合プラス、ポストシーズンを勝ち抜ける戦力の差を認めるしかなかった。

 そのソフトバンクとの差を埋めるため西武は来季から三軍制を採用するが、それは二軍未満の育成強化のためで一軍戦力に影響を与えるような即効性はない。今オフに直面する近々の最重要課題、秋山翔吾外野手(31)流出への備えにはならない。

 そこで球団は先日17日のドラフトでポスト秋山の候補獲得を狙ったが、上位で狙っていた即戦力外野手の指名には至らず。8位でセカンドチョイス、岸潤一郎外野手(22=徳島インディゴソックス)の確保に成功したものの、いきなりは計算に入れられない。

 次なる手段としてFA補強戦線参戦、新外国人外野手獲得の二段構えで外野の備えを確保しようとしている。

 23日には渡辺久信GM(54)が「ウチは今までFAには消極的だったけど今年は戦力と思えばピンポイントで(行く)」と参戦表明。西武の狙う「ポスト秋山補強」の第1候補はソフトバンク・福田秀平外野手(30)だ。

 秋山と同じ走攻守揃った1番タイプで、もし福田が獲得できれば秋山流出のダメージを最小限に食い止められる候補となる。しかし、補償のいらないCランクと見られる福田は西武にとって因縁の石井一久GM(46)率いる楽天なども狙う人気銘柄でもあり、資金力豊富なソフトバンクの高額複数年引き留めも含めFA補強には慣れていない西武がどこまで太刀打ちできるのか、未知数な部分は多い。

 福田本人も権利行使の意向を固めていることから西武がFA戦線への参戦に正式に動き出せば、97年の中嶋聡捕手(オリックスからFA=獲得)、07年の石井一久投手(ヤクルトからFA=獲得)、そして14年の小谷野栄一内野手(日本ハムからFA=オリックス入団)以来、5年ぶりとなる。

 ちなみに、16年の春季キャンプで広島からFA宣言していた木村省吾内野手を獲得しているが、これは獲得希望球団のなかった木村を西武がテスト入団の末、獲得した異例の形式だった。