叩き上げの男がレジェンドに並んだ。ソフトバンクの周東佑京内野手(24)が、28日のロッテ戦(ペイペイ)で11試合連続盗塁を達成。1971年、74年に福本豊(阪急)がマークしたプロ野球記録に並んだ。

「鬼脚」の〝脅威〟と〝驚異〟が凝縮された二盗だった。3回一死一塁で周東は遊ゴロを放ち、併殺崩れで一塁に残る。続く川島への2球目の前に、相手左腕チェン・ウェインは脅威を感じ、けん制を続けその2度目で飛び出してしまう。

 しかし、迷うことなく二塁へ「鬼脚」を発動。一塁から二塁へ転送される間に二塁を陥れた。一塁手・菅野はセーフの瞬間、その場にガックリ…。驚異的スピードを炸裂させての今季47盗塁目だった。

 ただ本人は「(プロ野球タイ記録に)あまり実感はわかないです。それだけ塁に出てきたということなのかなという感じです。(誘い出されて)ヤバいと思いましたし、焦らないようにしようとしたけど、めちゃくちゃ焦りました」と苦笑いだった。

 王球団会長から「今年はなんといっても周東」と、MVP級の活躍をたたえられた鷹の新リードオフマンだ。

「やっぱり彼の足。チームにとってこんなに頼りになる選手はいなかった。相手からしたら、あんな嫌な選手はいなかったと思う。打席に立った時に相手バッテリーの雰囲気も違っていた。塁に出ればすぐに二塁打になるわけだからね。攻撃する側は、すごくチャンスが広がる」

 まさに、絶賛の嵐。世界の王が声を弾ませる常勝軍団の新兵器となった。

 この日、遊撃の守備ではファインプレーと失策の両方があった。ミスや気づきがあれば、本多内野守備走塁コーチと居残り練習を行うことも珍しくない。日々成長中の24歳。世界の盗塁王・福本超えの日本記録更新、育成出身初の盗塁王獲得、その未来は無限に明るい――。

 チームはエース・千賀が8回12奪三振無失点の好投で5年連続の10勝目。今季唯一、負けが先行している宿敵ロッテに2―0で快勝した。優勝が決まっても鷹の勢いは衰えない。