鷹の名手、完全体へ――。ソフトバンク・今宮健太内野手(29)が15日のオリックス戦(ペイペイ)で勝機をたぐり寄せるファインプレーを見せた。

 3点を先取された5回二死一塁、遊撃の右を襲った強烈な打球をスライディングキャッチして好捕。すぐさま二塁に送ってアウトにした。チームはその裏の攻撃で4点を奪って逆転勝ち。出れば好守を連発する男が、またも流れを変えた。

 リーグ最速10勝到達で単独首位に返り咲き、さらに勢いを加速すべく主力陣の打棒が上がってくれば鬼に金棒だ。気になる一人が今宮で、ここまで打率1割6分は規定打席到達者でリーグワースト(15日時点)。14日のオリックス戦からは打順を2番から9番に下げた。高校通算62本塁打を誇った小力のある打撃が持ち味。2019年CSでは1試合3発の離れ業をやってのけるなど「打てる遊撃手」だ。

 そんな男の打棒に何が起きているのか――。

「野手全権」を担う小久保裕紀ヘッドコーチ(49)は意外な不振原因を明かした。「開幕戦のあの気持ちいいホームランが、振りすぎ傾向にいったかもしれない」。オープニングゲーム、最初の打席で放った特大2ランの落とし穴…。現役通算413本塁打の小久保ヘッドゆえの見立てだった。「ちょっと抑えぎみに、と練習から修正をかけた」。打順を下げた14日の試合では第1打席でお手本のような中前打。15日のゲームでは全3打席で冷静に四球を選んだ。

 味わった者にしか分からない特大弾に起因する絶不調の怖さ。打棒復活へ名手の試行錯誤は続く。