中日がダヤン・ビシエド内野手(32)の巨人への流出に戦々恐々となっている。

 1日現在、打率2割7分6厘で、チームトップの16本塁打と64打点を誇るビシエドは、貧打にあえぐ中日打線で「不動の4番」として孤軍奮闘を続けている。

 9月24日には6年目にしてNPB通算766安打を放ち、パウエル打撃コーチが持つ球団外国人最多安打の新記録を樹立。今季で3年契約が切れるが、2018年に首位打者(打率3割4分8厘)と最多安打(178本)のタイトルを獲得したこともある超優良助っ人に対し、球団は残留要請する方針を決めている。

 しかし、ここにきて中日サイドは巨人の動きを警戒。巨人では8月に加入したばかりのハイネマンが体調不良を理由に帰国することが9月30日に発表され、これで今季はテームズ、スモークと大砲候補が一気に3選手ともシーズン途中で帰国する異常事態となった。

 それだけに中日関係者は「打線強化を狙う巨人としては、もう外国人野手の補強で失敗は許されないはず。日本で結果を残していて今季で契約の切れるビシエドを、なりふり構わず狙ってくるはず。やっぱりおカネのある巨人に大型契約を持ち出されたら、条件面でウチは太刀打ちできない。今オフは安心できないよ」と危機感を募らせている。

 もっともビシエドは家族と一緒に名古屋に住み、長男はドラゴンズベースボールアカデミー、長女はチアドラゴンズのダンス教室にそれぞれ通っている。すっかり家族とも名古屋になじんでいるビシエドは「ドラゴンズに残留できるのが一番いいと考えている」とドラゴンズ愛を強調する。

 とはいえ、別の関係者も「ビシエドにはドラゴンズブルーの血が流れていると信じたいが、やっぱり巨人から破格の条件を提示されたら、誰だってどうなるか分からない。そもそも今季までの3年総額11億円以上の好条件を出せるのか心配…」とこぼす。

 中日サイドは早くもオフの巨人の〝ビシエド強奪〟におびえてしまっている。