カズジュニアのデビュー戦相手は――。格闘技イベント「RIZIN」の榊原信行CEO(57)が本紙の単独インタビューに応じ、大みそか決戦で総合格闘技デビューが決まったサッカー元日本代表FW三浦知良(54=横浜FC)の次男、三浦孝太(19)について語った。気になるデビュー戦のプランや今後の育成計画などを公開。さらには〝移籍〟でざわつくRIZINバンタム級王者・堀口恭司(30)の契約問題も説明した。

 ――三浦孝太選手とはいつごろから接触を

 榊原CEO(以下榊原)1年前くらいからです。指導している(BRAVEジム代表の)宮田(和幸)君から「ポテンシャルもあるし、話題性もあるし、デビューさせたい」っていう話をもらって。そこから「大切に育てよう」という話をしてきて、今年の夏になって「年内に(デビューで)いいんじゃないの?」となりました。

 ――19日のさいたま大会で電撃発表した

 榊原(決まったのは)1週間前とかですよ。宮田君とお母さん(三浦りさ子)とお父さん(カズ)と4人で話をして「19日に発表する」ということで了解が出た。

 ――デビューが決まり両親の反応は

 榊原 特に奥さんが結構、心配されていて。普通のお母さんと同じように心配されている感じです。
 ――デビュー戦のマッチメークは

 榊原 勝ち負けだけじゃないところで、見ている人に届けられるようなドラマチックな相手を用意したい。そういう意味で日本人じゃないんだろうなと思ってるんです、正直。ブラジル人とか。

 ――なるほど! カズはブラジルでプロ選手のキャリアをスタート

 榊原 将来的に、世界に羽ばたかせたいんですよ。「記念受験」とか「思い出づくり」とはわけが違う。3、4年先にはベルトを巻くぐらいまで出世してほしい。大切には育てたいけど、過保護に育てることはないので。本人も覚悟を決めて〝修羅の道〟に挑むわけですから。

 ――階級は

 榊原 フェザー級になると思います。世界でも日本の中でも層が厚い階級。ただ、いきなりトップアスリートと組むべきではないだろうと思います。みんなで育っていく姿を見届ける選手がいてもいいのかなと。「デビュー戦も見たけど、1年でこんなに成長したんだ」みたいな。足がガクガクに震えて、緊張で心臓が口から飛び出そうな、そういう環境の中でパフォーマンスを引き出せるレベルに達するにはいろんな経験が必要だと思うので、スピーディーに一気に育てたい。そういうポテンシャルは十分にある選手と思っています。

 ――一方で堀口について情報が錯綜している

 榊原 主戦場は米国、(米格闘技イベント)「ベラトール」になります。現役RIZIN王者としてベラトールに行く。RIZINの舞台で、ベルトを防衛していくタイミングは必ずセットアップされます。

 ――堀口が日本に帰ってきて防衛戦をする

 榊原 そうです。来年の大みそかとかにRIZINのリングでタイトルマッチをやるとか。その時に今回の(RIZINバンタム級)トーナメントの優勝者とやるのか。あるいは優勝者はそれより先んじてベラトールで堀口恭司とやるかもしれない。ベラトールのスコット・コーカー(代表)とは「もう少し選手の行き来を活発にしよう」と話しているので。

 ――確認だが、堀口はベラトール所属の選手になったということか

 榊原 そうです。ベラトールの契約下になります。契約したのはベラトール。ただ、スコットと僕らの関係の中で、その契約の中の1試合を売ってもらう形で(参戦が可能になる)。ちょうどベラトールが「来年バンタム級GPをやる」と言っているので、その中でRIZINのチャンピオンがどこまで行けるのか。スコットからは「タイミングが合えば、今回の(RIZINの)トーナメント優勝者にもうちのGPに出てもらうのもいいよね」という話もあるんですよ。そういう意味で風通しはさらに良くなると思います。

【父・三浦知良とブラジル】カズといえばブラジル抜きには語れない。1982年に静岡学園高の1年時に単身でブラジルへ渡ってジュベントスに留学。下積みを経て徐々に現地で頭角を現すと、86年にはスーパースターのペレも在籍した名門サントスとプロ契約を果たす。同年にはキリンカップでブラジルでプレーするプロ選手の一員として凱旋し、大きな注目を集めた。

 その後、複数のチームを渡り歩き、88年にはブラジルで最もレベルが高いとされるサンパウロ州リーグのキンゼ・デ・ジャウーに入団。日本人選手として初ゴールを挙げ、さらに最高レベルのリーグ戦であるブラジル選手権でも活躍。90年には再びサントスへ復帰して強烈な存在感を発揮し、王国で〝KAZU旋風〟を巻き起こした。