ノア16日のエディオンアリーナ大阪第1競技場大会で、GHCヘビー級王者・清宮海斗(23)、武藤敬司W―1会長(56)、秋山準全日本プロレスGM(49)が夢のトリオを結成。天才・丸藤正道(39)、ドラゴンゲートの鉄人・望月成晃(49)、谷口周平(42)組を撃破して圧巻の存在感を見せつけた。

 リングサイド最前列ではサプライズ来場した元リングス、Uインターで“孤高の天才”と呼ばれた田村潔司(49)が真剣な表情で試合を見つめる。先発は武藤と丸藤の世代を超えた天才対決だ。まず武藤が低空ドロップキックを決めるも、閃光魔術弾はブロックされる。逆にカウンターの虎王は寸前でエスケープ。いきなりのハイレベルな攻防に大歓声の渦が巻き起こった。

 ハイライトは14分過ぎに訪れた。武藤が3人連続でドラゴンスクリューを発射すると、丸藤に足4の字固めを決める。それでも丸藤は顔面へのトラースキックで試合を五分に戻した。

 20分過ぎ、武藤がプロレスLOVEのポーズから閃光魔術弾を望月に決めると、場内の興奮はピークに達した。大先輩2人が敵軍を蹴散らすと、清宮は鮮やかなドロップキックから変型エメラルド弾で谷口の動きを止め、最後は必殺の猛虎原爆固めで夢の競演を締めくくった。

 最年長の武藤は「敬老の日だから2人がまとめてくれた。何の打ち合わせもしないのに、リング上で(試合が)成立するんだからすごいよね。(清宮は)とてもいいよ」と若き王者に高評価を与えた。

 さらには秋山に対しては「(清宮のGHC王座に)挑戦すれば?」と20代から変わらない得意の全面的丸投げ発言も…。これにはさすがの秋山も苦笑して「武藤さん、(10月で)僕、50歳ですよ?」とやんわり却下。さらには「本人が一番分かっていると思うけど、まだまだ覚えていかなくちゃならないことがある」とかつての古巣を支える23歳にエールを送った。

 また生真面目にメイン終了後も席を立たず、拳王のマイクアピールが終わるまで真摯な視線でリング上を見つめていた田村は、本紙が直撃すると哲学者のような表情で数十秒も熟考。言葉を丁寧に選びながら「(試合が)とても長く感じられました」と話した。

 マット界でも稀有な正直さと礼儀正しさ、律儀さで“赤いパンツの頑固者”と呼ばれる田村のまさかのノア参戦があるのか。今後が注目されるところだ。

 夢のようなトリオ結成と、IQレスラー・桜庭和志(50)と“野獣”藤田和之(48)の初参戦、そして総合格闘技で一時代を築いた田村の来場。また新たな風景が目前に広がった清宮は「(セミでは)自分勝手を貫こうと思っていました。今日は本当にいろんなものを吸収させていただきました。これを機にまた新しい景色を切り開いていきたい」とさらなる飛躍を誓った。