ノアの天才・丸藤正道(40)の悪の化身が、11月2日の東京・両国国技館大会に降臨する可能性が出てきた。武藤敬司(56)が代理人を務めるグレート・ムタとの同大会での歴史的初遭遇に向けて「対策の立てようがない」と現状を嘆いた末、25日までに導き出した答えは同じ魔界から「グレート・マル」を呼び出すことだった。

 ムタと初の一騎打ちが決まった丸藤が途方に暮れていた。「最初で最後のシングル戦。プロレス頭をフル回転させてムタの想像を超えるものを考え続けてるけど、頭が回らねえ時は回らねえよ」。しかしその直後、一瞬だけ目をキラリと光らせた。「魔界の住人には魔界の住人を当てるしかないよね。あの男を呼ぼうかと思ってる」。自身の化身である「グレート・マル」のことだ。

 伏線はあった。2006年12月にはメキシコで、凶悪なる「マリー・フジ」が登場。丸藤のキラーバージョンで、急所蹴りやマスクはぎなどの極悪ファイトに徹し、ルチャファンを恐怖のどん底に陥れた。さらに10年5月、今度はカンボジアに新たなる化身が降り立った。「あの時、プロレスを知らない子供たちにとって、何が一番受けるのかを真剣に考えていたら、フラリと顔面にペイントした魔物のような男が現れた。赤い毒霧を噴射して子供たちを沸かせると、ゆっくりとカンボジアの森の中へ消えて行った。あれは間違いなくフジの進化系、グレート・マルだった…」と振り返る。

 この時はプロレス未開の地だった同国の小学校で、丸藤を含む4選手が試合を行った。その開催前に突然、マルが降臨したという。その後は一切の消息を絶ったものの、新生ノア最大のビッグマッチへ向けて、マルが丸藤にメッセージを送っていたに違いない。

「俺、大阪(16日)の試合後に武藤さんに毒霧のつもりで水を噴射したんだよね。気づいてくれたかな?」と語るや、噴射ポーズを決めてゆらりと消えていった。