次は東京五輪だ。国際大会「プレミア12」で初優勝を飾った稲葉篤紀監督(47)率いる侍ジャパンは来夏、いよいよ地元開催五輪での金メダル取りに挑む。そこで注目されるのが、今大会より4人削減される五輪メンバーの顔ぶれだ。誰が生き残り、誰が涙をのむのか…。今回出場を辞退した“裏切り侍”たちには、厳しい姿勢で臨むことも分かった。

「本当に選手たちがよく頑張ってくれました!」。グラウンドで8度宙に舞った稲葉監督は目を潤ませ、興奮気味に殊勲の侍たちをたたえた。とはいえ喜びに浸れるのも一瞬だろう。宣言通り「プレミア12」の初優勝は果たしたが、まだ東京五輪での金メダルという大目標が残っている。

 来春は侍ジャパンとしての強化試合が設定されていない。そのため稲葉監督は今大会を五輪への土台づくりと位置付け「東京五輪とこのプレミア12でまったく違う選手を選ぶことはない」としていた。ところが今大会は開幕直前に故障者や水面下の辞退者が続出。想定外のメンバー構成で戦うことを強いられた。

 大会期間中、侍スタッフの一人は「“五輪に向けて”という空気はもう完全にない」と断言。「首脳陣の頭も今はこの28人でプレミアをいかに勝つか、ということだけ。五輪のメンバーはまた切り離して考えるしかないでしょう」と話した。

 今大会の28人から五輪では24人に絞る必要がある。五輪メンバーの選考について稲葉監督は「今回のメンバーを含め、反省していきながら来年の彼らのプレーを見て考えていきたい」と語るにとどめたが、金子ヘッド兼打撃コーチは「4人減らすというのはつらい。今回は後から招集した人もいて迷惑もかけましたし…。シーズン中の選考になるので体調も問題になる」と悩ましい表情だ。

 難しいのは今回故障やコンディション不良により辞退した有力選手たちの評価。体調が万全で来季開幕後の成績が伴えば、当初の主砲、エース候補だった柳田(ソフトバンク)、千賀(同)、菅野(巨人)の代表復帰は当然検討されるだろう。

「彼らが入る場合、投手では今回急きょ招集した大竹(巨人)や嘉弥真(ソフトバンク)が落選候補になってきます。ピリッとしない結果に終わった山口(巨人)、山岡(オリックス)も微妙なライン。野手では“特殊枠”の周東(ソフトバンク)、ムードメーカーの松田宣(同)を残すべきかどうか。首脳陣の中にも『岡本(巨人)を呼ぶべき』という声があります」(前出の侍スタッフ)

 やはりプレミア12と五輪では顔ぶれが大幅に変わる可能性も十分あるということだ。それでも今回優勝を果たしたことでより強固になった方針もある。辞退者続出に悩まされた首脳陣は、故障や体調不良以外の理由で代表入りを蹴った数人の選手については、たとえ来季開幕からどれだけ活躍しようが「二度と呼ばない」と名指しで宣言しているという。

 東京五輪メンバー選考は来季開幕後に本格化する。悲願の金メダル取りへ、稲葉監督の“鬼の決断”が注目される。