男子ゴルフの「マスターズ」で日本人としてメジャー初制覇を果たした松山英樹(29=LEXUS)がスポーツの枠を飛び越えて「政治・外交」にまで大きな影響を及ぼしている。松山の歴史的偉業が国内外で1200億円以上もの経済効果をもたらすことは本紙でも報じた通り。大きなインパクトを与えているのは、経済だけにとどまらない。

 16日に菅義偉首相(72)とジョー・バイデン大統領(78)の日米首脳会談が米国の首都ワシントンで予定されており、地球環境や安全保障、中国の人権問題など様々な分野について議論が交わされる見通しだ。その会談の席で、松山が重要な役割を担うことになるという。

 日本ゴルフツアー機構(JGTO)元会長の小泉直氏(82=現JGTO顧問)は「松山君が『マスターズ』で優勝してくれたのは、日米会談の〝露払い〟をしてくれたような感じ。間違いなく共通の話題になるでしょうし、和やかなムードをつくるのに寄与してくれるはず。やはり日米は世界でもゴルフが盛んな国。(今回の『マスターズ』優勝は)日本と米国の絆を強くしたイベントになった」と指摘した。

 すでに松山は2017年11月に初来日したドナルド・トランプ大統領と安倍晋三首相(ともに当時の役職)とともに、東京五輪の会場でもある霞ヶ関CC(埼玉)でラウンドして日米両国の橋渡し役を務めている。今回の優勝も首脳同士の距離を縮める上で、格好の話題提供になるというわけだ。

 松山が優勝した直後、菅首相は自身のツイッターで「優勝おめでとうございます。新型コロナの影響が長引く中で、日本中に勇気と感動を与えてくれたのではないでしょうか」などとコメント。最も「勇気」をもらったのは、ほかならぬ首相自身なのかもしれない。