4年ぶりの日本人賞金女王(鈴木愛)が誕生した女子ゴルフの昨季国内ツアーで、意外な“珍記録”が達成されていた。全38試合が開催されたシーズンで、勝利数「12」で1位となったシューズメーカーはナイキだったが、この中に契約選手が一人もいなかったのだ。

 ナイキは2016年にクラブ、ボールとバッグのゴルフビジネスから撤退。一方で継続して展開しているシューズとアパレルでは、ライバルのアディダスの看板の一人でもあったジェイソン・デイ(30=オーストラリア)と契約する積極的な動きも見せる。そうしたなか、日本の女子ツアーでは2位以下を大きく引き離す勝ち星を挙げながら、金銭が発生する契約を結んでいる選手がいないというのは珍しい。

 もちろん、これにはワケがある。ツアーの試合はすべて歩きでのプレー。練習日やプロアマを含めると1週間ぶっ続けでラウンドすることもあるだけに、シューズ選びは非常に大切。お金をもらわなくても使うのは、性能を認めているからにほかならない。

 また、以前のナイキはクラブやボールを含めた「全身一括契約」が主流だったが、ツアーでの展開はほぼシューズに特化された。これによりトレーニングや普段履きで慣れている選手が気軽に試せるようになり、そのまま使うようになったケースも多い。

 契約をしていないためにメーカーも宣伝に使えず、意外と知られていない事実。今季ツアーは「ダイキンオーキッドレディス」(3月1日開幕、沖縄)から始まるが、選手の足元にも注目だ。