和製横綱は「引退危機」から抜け出せるのか。大相撲初場所(13日初日、東京・両国国技館)を控えた3日、横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が東京・江戸川区の部屋で今年初めて相撲を取る稽古を行った。大関高安(28)を相手に16番取って14勝2敗。稽古後は「お互いに力を出し切った。だいぶいいんじゃないですか。思ったような相撲が今日は多かった」と手応えを口にした。

 ただ、現時点では本番へ向けた仕上がり具合は不透明だ。これまで同部屋の高安との稽古では分が良くても、他の部屋の関取衆との稽古では格下にも苦戦することが何度もあったからだ。より実戦に近い稽古で課題や相撲勘をつかむ意味でも、出稽古は欠かせない要素。初日までに稽古ができる時間は実質的に1週間程度しかないだけに、完全に不安を払拭することは簡単ではない。

 昨年11月の九州場所は横綱では87年ぶりに初日から4連敗を喫し、5日目から途中休場。横綱審議委員会からは史上初となる「激励」の決議を下されると同時に、初場所に出場することを求められた。今場所も休場となれば、今度はいよいよ「引退勧告」などが決議される可能性もある。

 土俵人生で最大の危機に直面する中、ここから万全の状態に仕上げることはできるのか。本番まで目が離せない状況が続くことになりそうだ。