中国水泳協会(CSA)が東京五輪の出場資格を改正し、ドーピング検査の妨害により資格停止処分となった競泳男子の孫楊(29)を東京五輪に出場させるためだと世界から猛批判を浴びている。

 孫はこれまで五輪で金メダル3個を獲得している世界王者だが、2018年9月にドーピングの検査官が自宅を訪問した際に検査容器をハンマーで破壊する暴挙を働いた。

 昨年2月にスポーツ仲裁裁判所(CAS)は検体の提出を拒んだとして、8年間の資格停止とする処分を下した。だが昨年12月にスイス連邦最高裁判所が審理の差し戻しを命じる異例の展開となり、24日から予定されるCASの聴聞会に注目が集まっている。

 そうした中で中国側が仰天の行動に出た。CSAが東京五輪の出場条件を新たに示し、2019年の世界水泳で金メダルを獲得した選手全員に参加資格を与えると表明したのだ。孫は今週予定される東京五輪予選を兼ねる中国選手権に出場しないが、CASの聴聞会を経て資格が回復されれば予選を経ず五輪に出場できるように取り計らう〝特例〟というわけだ。

 このCSAの対応には世界中から批判が殺到している。ニュージーランド紙「NZヘラルド」は「中国の恥知らずな行動。孫を五輪に連れて行くために不正をする」と断罪。オーストラリアのジャーナリストのサム・グッドウィン氏も「中国の〝爆弾〟の動き。世界中のファンからの非難を引き起こした」と糾弾した。

〝超法規的措置〟で孫は東京五輪に出場することになるのか注目が集まる。