青森・弘前市のジュンク堂閉店 市内中心街から総合書店姿消す

ジュンク堂書店の閉店を惜しみ、多くの買い物客が本を手に会計の列をつくった=30日午後6時半ごろ、弘前市

 青森県弘前市の中三弘前店6階にあった「ジュンク堂書店」が30日、閉店した。市中心街の土手町では2000年の今泉書店、19年の紀伊國屋書店弘前店に続く閉店で、これで総合書店が姿を消した。営業最終日は多くの買い物客が詰めかけ、本を手に長い会計の列を作った。

 同店は12年5月、県内最大規模の書店として中三弘前店の6、7階にオープン。一般書、専門書を中心に幅広い書籍を取りそろえた。中三が書店大手の「丸善ジュンク堂書店」(本社東京)とフランチャイズ契約を結び運営してきた。

 ただ、書店運営は当初から厳しかった。中三の担当者によると、書店の売り上げピークは開店初年度。以降は書籍のオンライン販売の普及などに伴い、売り上げの低迷に苦しんだ。18年5月には7階の売り場を閉じ、蔵書数を80万冊から18万冊に減らした。閉店については「苦渋の決断だった」とし「後継店は未定」と話した。従業員21人は中三で雇用を続ける。

 市民からは閉店を惜しむ声が寄せられた。これまで医学書や医学雑誌を買ってきたという弘前大学医学部医学科6年の米谷隆佑さん(25)は「目的の本を買うだけでなく、ちょっと寄り道して芸術書や小説などを探すのが楽しみだった。小さいころに祖父と訪れて以来親しんでいたので本当に残念だ」と語った。

 市内に住む元教諭の女性(64)は「いろいろな本を見比べ、吟味して購入できるのが書店の良さ。ジュンク堂は学校図書に入れる本を検討する時など、いろいろな形で利用してきたので、学校にとっても痛手だと思う」と話した。

 午後6時半過ぎ、最後の来店者が去って間もなく、店内の明かりが消え、約12年間の営業を終えた。

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