「日系エンジン」が中国の新燃費規制で注目の訳 国際基準導入で日系メーカーの好機となるか?

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中国で生産・販売されるトヨタ「RAV4 ハイブリッド」(筆者撮影)

中国民営自動車メーカートップの吉利汽車(ジーリー)は、2020年11月にドイツ・ダイムラーと次世代ハイブリッド車(HV)用パワートレイン技術の共同開発を発表し、2021年7月には地場のバッテリーメーカーとHV用バッテリー工場の建設をはじめた。

2位の長城汽車(グレートウォール)は2021年7月、自社のLEMONプラットフォームで開発した初のHV車、「ハーバルH6」を発表した。電気自動車(EV)シフト一色の中国では、上記2社の動きから“ガソリン車の省エネ化”への注目度が高まっている。

中国は二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までにピークアウトさせ、2060年までに脱炭素社会を実現する目標を掲げており、エネルギー構造の転換だけでなく、製造業の構造改革やエコカーの普及を求めている。

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そんな中、中国工業情報省は2021年7月1日に、ガソリン車やプラグインハイブリッド車(PHEV)を対象とする乗用車燃費新規格、「乗用車燃料消耗量限値」(GB19578-2021)を導入した。

2014年に実施された現行の規格が国際基準に切り替わることになり、自動車の省エネ化を求める圧力が一段と強まって、自動車メーカー各社には本規制への対応力が問われることになる。

こうした流れは省エネ車関連の需要を喚起し、世界でもトップレベルの省エネ技術を培ってきた日本企業にとっては追い風となりそうだ。

新規格で何が変わるのか?

今回の乗用車燃費新規格では、主に燃費の算出方法、評価基準の変更が行われた。

燃費の算出方法では、従来のNEDC(New European Driving Cycle)と呼ばれている現行のヨーロッパの試験サイクルに代わって、2025年までに世界基準の燃費・排出ガス試験法であるWLTC(Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycle)が施行される。

また、燃費の評価基準では、車両の燃料消費量制限が、車両重量によって16段階に分けて評価する“階段式”から“直線式”に変更となる。

中国政府は、2019年末に乗用車の燃費規制に関わる評価方法および指標(2021~2025年)である「第5段階燃費規制」を発表し、2025年には、NEDCモードで100km走行にかかる燃料消費量を4リットル(4.0L/100km=25km/L)、CO₂排出量換算で95g/kmとするなどの目標を掲げた。

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